ファミマが放出時、PPIHによる809億円自社株買いが二重の意味で「もったいなかった」理由

椎名則夫(アナリスト)
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ファミリーマートの狙いとPPIH投資家の思惑

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ファミリーマートの狙いは明確だと筆者は思います。伊藤忠の目指す川下戦略の橋頭堡であるファミリーマートは、その資本強化とデジタル変革(DX)対応の投資原資捻出が待ったなしだからです。

とはいえ、PPIH株を継続保有した場合のメリット・デメリットとの比較衡量をしたはずです。その結果、PPIH売却すべしとなったわけなので、PPIHの株主・投資家の関心は、ファミリーマートがPPIHの業績・株価に下した判断結果に向かいます。

大株主のファミリーマートといえどもどこまで重要情報を知っているのか分かりかねますし、彼らの判断結果自体が開示されることはないでしょうから、答え合わせはできません。しかし、収益管理を徹底する伊藤忠グループの判断であるだけに、一目おくべきだと多くの投資家は素直に考えたはずです。

PPIHでは郊外ディスカウントストア事業と総合スーパー(GMS)事業の好調および海外事業の成功の萌芽というプラス材料があるものの、祖業といえるディスカウントストア事業で苦戦が続きます。インバウンドの蒸発と都心店舗での人流制限の影響により既存店売上高の対前年同期比マイナス傾向が続いています。投資家はこの認識を踏まえてファミリーマートの決定を受け止めています。

売り出しではなく自社株買い

この状況でPPIHは相対での自社株買いを選択しました。

理屈を言えば、自社株買いで経営陣の自信を示し、自己資本圧縮による資本効率の改善と資本コストの低減効果を狙ったということかもしれません。

しかし、筆者の感想は「もったいない」でした。

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