ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営29 コロナが促した販売形態の変化とは
本連載24回でリテールの形態の変化を解説した。リテール経営は効率化を図り顧客へ利便性を提供する歴史と言っても過言ではない。しかし、これまでのやり方から抜けきれず変化に立ちはだかってしまう人もいる。今号では、リテール形態の変遷に続き、「売り方(販売方法)」の歴史とコロナ禍による影響について考えたい。
業態発展の歴史と商業集積のロケーション変化
これまでリテールの発展は、物々交換や市(いち)による商品の流通「ライフ・リテール」、その後、呉服屋や金物屋など場所を固定した「ストア・リテール」が生まれる。この呉服店が後のデパートへ発展するわけだが、スーパーマーケットも肉屋、魚屋、八百屋、総菜屋の集積とワンウェイ導線や集中レジによって作られたストア・リテールの1つである。
時代と共に競争が激しくなり店舗は集積を始める。その典型が商店街であり中心市街地である。商店街は全国にアーケードを形成し、人々の日常を支えた。
私の故郷、静岡県三島市にも商店街があり子供の頃はアーケードで買い物をしていた。
日本の街は、お城を中心とした城下町に商業集積地を作った。それが今の中心市街地であり、パルコや丸井やラフォーレなどのファッションを中心とした施設が立地した。そのほか、前出の三島のような宿場町や物流拠点として栄えた商業地もこの中心市街地として発展するが、残念ながら中心市街地の多くは衰退しており、寂しい限りである。商店街の衰退の理由は、「跡継ぎ問題」と聞く。商売を継がずに会社員になる方が多い。これも時代の流れ。次の担い手が現れることを願うしかない。
また、鉄道駅の流動客に目を付けた鉄道会社は、ターミナル型百貨店を作り、自らもテナントを誘致した駅ビルを建設した。この他、高速道路のサービスエリア(SA)や空港商業などが「トランジット・リテール」である。このトランジット・リテールはこれまで集客力の面で優位性があると思れていたのだが、コロナ禍で取り巻く環境は大きく変化してしまった。
都市の構造と生活スタイルと価値観
都市の郊外化とモータリゼーションの発展から巨大な駐車場を備えた「モール・リテール」が全国に作られる。これらは「平成ニューファミリー」、「団塊ジュニアファミリー」の消費を背景にしていた。少子高齢化、人口減少が進むなか、今後は相当の工夫を行わないと隆盛を保つことは難しい。
この課題感から生まれたのが、南町田グランベリーパーク、MIYASHITAPARK、Green Springsなどの「パーク・リテール」である。グランツリー武蔵小杉のぐらんぐりんガーデンの評価も高い。今、ものはEC(Eコマース)で買える。したがって、ショッピング以外の顧客価値、ここにリアルの将来が握られている。この取り組みは決して新型コロナウイルスで始まったものではなく、裏付けられたに過ぎない。
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