ミレニアル世代のコストコ、ボックストが株式上場を急ぐ理由とは?
2021年6月、日用品のEC販売を手がけるボックスト(Boxed)が、SPAC*を通じて米ナスダック市場に上場することを発表した。13年の創業から急成長中の同社は、18年にイオン(千葉県/吉田昭夫社長)が出資したことでも知られている。ボックスト上場によって、成長著しい米オンライングロサリー市場の競争はどのように変化するのか。
*編集部註:日本語では「特別買収目的会社」ともいわれ、特定の事業を持たず、未上場企業の買収を目的とした会社で、上場によって株式市場から調達した資金などで実際に事業を持っている企業を買収する
イオンも出資する2013年創業の急成長企業
米国では継続的にその企業戦略と成長が注目されており、国内小売最大手のイオンも投資しているボックストが、SPACとの合併を通じていよいよ株式上場すると発表した。

2013年にニューヨーク市内で創業したボックストは、包装食品、日用品、ベビー用品、パーソナルケア用品などの生活必需品を卸売価格に近い価格でバルク販売し、ほぼ2日以内に配送するEC企業だ。ミレニアル世代の幼い子供を持つ若い家族をターゲット顧客に設定し、仕事と育児と家事に追われて忙しい彼らに、生活必需品を低価格かつスピーディーに配送することで、買物時間の短縮という利便性を提供している。それゆえ、「ミレニアル世代のコストコ」と呼ばれているボックストだが、そのビジネスモデルはコストコ(Costco Wholesale)とはかなり異なっている。
同社のビジネスモデルの特徴は、
❶コストコ同様メーカーから買い付けた商品をバルクで低価格販売
❷コストコでは重要な収益源である年会費は徴収しない
❸1500SKUという絞り込んだ商品展開により在庫回転率を上げるとともに、倉庫のスペースやフルフィルメント業務のコストを削減
❹デジタルテクノロジーを全面的に活用して効率化
❺ターゲット顧客が密集する大都市圏の近くに倉庫を設置
❻販路はオンラインのみ
となっている。
創業者グループはCEOのチェイ・ホワン氏を中心に、幼なじみや大学時代の友人4人で、当初アストロエイプというゲーム開発会社を立ち上げ、ゲーム開発大手のジンガに売却し、ボックストを起業したという、デジタル技術畑出身者の経歴を持つ(ちなみにホワン氏は起業前に約3年間弁護士をしていた経験もある)。それゆえボックストは成長過程で、アマゾン同様に次々とデジタル投資を行っている。
テクノロジーを積極活用!ボックストの歩み
ボックストは14年5月、
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