1年で1兆円企業に、ECでZARAを圧倒する中国 Shein(シーイン)の秘密に迫る

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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世界のZ世代で人気沸騰 Sheinは日本で成功するのか

さて、こうした状況を鑑み、この突然変異のユニコーン企業が日本語対応をし、日本市場に攻めている。果たしてSheinは日本で成功するのだろうか。私の答えはNOだ。「ただし、この5年は」という条件つきである。

実は、私自身、この論考を書くに当たって(当然であるが)幾枚かの商品を購入しているのだが、それらのほとんどが、「それなりの商品」だ。アメリカ、オーストラリア、メキシコなどで事業を展開しているというが、こうした国、あえて云わせてもらえれば「服にあまり関心の無いような国」で売れるという事情がよくわかる。以前紹介したAmazon Essential(アマゾン・エッセンシャル)以上の酷さである。

日本、韓国、そして、イタリアは、歴史的ファッション先進国で、特に日本では無敵のユニクロ、g.u.など、圧倒的コスパを実現した日本品質の服を山のように販売し、また消費者は、それらに慣れている。しかし、このSheinの服は、われわれ日本人にとっては「残念な品質レベル」だ。当面は、その格安な値段と中国臭さを消したマーケティングで、アジアで拡大してゆくだろう。同社の商品は、縫製は粗く素材はペラペラ。まるで、経営破綻したフォーエバー21を彷彿させる品質だった。これでは、品質にこだわる日本市場の解錠は当面無理だろうと思う。

しかし、私たち年寄りが想像もつかない「Z世代」にもこの考えがあてはまるかというと、クエスチョンマークだ。世界はますますフラット化し、年寄り的に言えば、洋服文化は破壊されている (変わっている)。また、われわれが思い描く未来像は5年後までで、それ以降は何が起きるかわからない。徹底したマーケティングと唸るほどの金があるSheinが、弱り切った日本のアパレルにM&A攻勢をかけ、ファッション先進国向けの品質技術を持つことは想像に難くない。この5年で同社による「日本買い」が増えるだろう。5年以降も、日本が「ファッション先進国」であり続けるというのは、私たち老人のおごりかもしれない。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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