成功事例続々、導入企業急増のプロセスセンター ビジネスに変革もたらす「魔法の杖」にする方法

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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代表的な3つの導入効果

 長らく、生鮮食品の加工はSMの店内で行われるのが主流だった。青果物や水産物、精肉はカット、袋詰め、パックされた後、すぐ店頭に並べられる。加工という工程を経ると、食品は急速に劣化が進む。そのため鮮度、味を優先する場合、最終消費地である家庭との距離、時間が短い店内での加工が、最も優れたスタイルだと考えられてきた。

 それでも80年代以降、大手を中心にPCを取り入れる企業が相次いだ時期がある。だが多数派にならなかったのは、いくつかの理由がある。

 第一は、店内加工の優れる点と表裏の関係にあるが、加工から売場に陳列されるまでの時間が長いため、一般に品質、おいしさの面で劣るとされるためだ。部門にもよるが、前日、PCで加工された商品は翌朝、店に届けられることが多い。

 第二に、変化する状況に合わせた対応がしにくいことがある。PCでは、生鮮食品が計画的に加工、製造される。需要予測が不正確である場合、廃棄や値引きロスが増える。そこに天候、地域需要、競争環境といった要因が複雑に絡み合うため予想が困難になり、結局は店内加工を続ける企業が少なくない。

 第三に、PCを導入するにはまとまった投資が必要になることも大きい。展開する店舗が少ない場合、得られる効果とコスト負担を天秤にかけ、結局は導入を決断できない企業も目立つ。

 SMにとり、店内加工こそ品質、味を追求するための最適解──。だが、年々、厳しさを増している人手不足の現状を考えると、そのスタイルはいずれ立ち行かなくなるのは間違いない。

 では解決策としてPCを導入した場合、どのような効果が得られるのだろうか。代表的なものには、①コスト低減、②品質、味の標準化、③品揃えの充実、の3つがある。

 ①は各店で行っていた作業をPCで集中加工することで、店舗の人件費が低減、人時生産性も向上する。②は各店で技術水準が異なっても、同じ品質、味の商品を販売できる。③は、人手が不足していても、朝一番からベーシックな商品を揃えられ、売場のスタンダードレベルを向上できる。

 いずれの効果も企業にとり検討する価値は十分あるだろう。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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