中古品拡大、新品は受注生産に、ユニクロは世界一へ!2030年、アパレル業界の未来はこうなる!13大予測

河合 拓
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消費者の変化①お財布は全てスマホに変わる

Tero Vesalainen/istock
Tero Vesalainen/istock

 私たちが普段外出時に持ち歩くものはスマホだ。今、バスに乗っても電車に乗っても、乗車員は皆スマホを見ている。お財布は忘れてもスマホだけは絶対に忘れなければ、都内であれば一日生活することはなんら問題ない。

 企業のプロパー消化率が下がったのは、マーケット・クラスタリングが、我々おじさん世代には理解できない切り方と数に細分化されたからだ。消費者は夜のサークル活動もスマホでやる。会社で孤立しても、ネットの世界では共通の趣味を持った人が集まるSNSで会話を楽しめる。もちろん問題もあるが、お互いが住所を交換し合ったり、実際に会うような約束をする会話が見つけたらAIが注意勧告し、自動的にあらかじめ登録した第三者に許可を得るように会話内容を自動転送する仕組みで防げるだろう。

 いわゆるZ世代(1980年代から2000年代に生まれた世代。生まれた時からデジタル機器が生活に溶け込みパソコンよりもスマホを使いこなす)10年後、ファッションの中心購買層は、彼ら、彼女たちだ。

  Appleの有名なCM、「What’s PC ?」は、私が大好きなCMで、いまどき、デジタルだリアルだ、オムニチャネルだOMOだと、何をいっているのか専門家の私でさえ理解できない単語で煙に巻いている評論家ほど、グレイヘアばかりだ。私は、そうした会議に幾度も参加したが、横文字が多いのは、若い世代でなく高齢者世代である。デジタルは若い世代の生活の中に既に入り込みそこに境界線などない。

消費者の変化②お買い物は好きな時、好きな場所、好きな時間で

 10年後、物理的なリアル店舗は、そのブランドを象徴する広告塔となり、人々が目につく街の一頭地のショールームとなる。

  さて、広告塔であるリアル店舗に入ってみよう。1階は新作で、すべて5日以内に自動生産されるパーソナルオーダー・フロア、そして、2階は補修を行なった「訳あり商品」が並び、地下は綺麗に新品と違わぬほど綺麗に補修された型落ち品が展示されている「体験場」だ。この時代、もはや「値引きセール」という日本の風物詩はない。というより、必要ないのだ。新作は全て5日以内に私たちの自宅に運んでくれる唯一品の定価販売だからである。

  2階や地下は、そのブランドが扱っている商品を、ブランド保証タグをつけ、定価の半額から70%程度で再販されている。安く良いものを買いたい人は、そこで「訳あり商品」を買う。「訳あり」でも、すでに補正と再プレスしているのだから新商品と何ら違わないことはいうまでもない。3階に行けば、そのブランドの買取りセンターがあり、巨大な箱に古くなった衣料品を放り込めば、その会社で買ったブランドかどうかAIが判断し、程度に応じて値付けをし、定価の30%程度で買取してくれる。自動販売機の逆バージョンだ。

 結果、消費者は、リセールを気にし服を大事に着て、できるだけ高く買ってもらえるよう大事に着るだろう。こうして服のメンテナンスグッズも売れるようになる。

 冠婚葬祭やパーティーなど、年に数度もない「ハレの日向け衣料品」は、ブランドからレンタルする。服を毎回取り替えたいファッショニスタ、あるいは、自分でファッションなど選ぶのが面倒な人は「サブスク」を利用し定額料金をブランドに払えば、次々と似合う服をAIがコーディネートし送ってくる。

  もし一回だけ利用したい人も大丈夫だ。レンタルを利用すればよい。これらはすべてクルマ業界では当たり前。2030年ようやく日本でも衣料品に受注生産、二次流通市場、レンタルとサブスクを消費者が選び服を着る時代が来る。真の循環経済社会の到来だ。

 さて、圧倒的に店が少なくなった日本社会で、地方の人達はどうするか。心配はご無用だ。

 冒頭に述べたよう、彼ら、彼女たちはVR をセットし、全くリアル店舗と違わない体験ができるようになる。お買い物はすべてスマホによるウエブ決済となるため、好きなブランドに登録しておけば自分の趣味・嗜好をAIが学習し、例えば「来週、パーティーがあるのだけど、いくつかパーティー用のドレスを選んで」とスマホに話しかければ、ブランドサイトが過去の購買履歴を分析し。「暖かくなってきたので、こんなお洋服はいかがでしょうか?」といくつかのご提案をしてくれる。

  購買するのか、補修品を買うのか、レンタルするのか選び、もし急いでいれば、「今日中にもってきてくだい」とボタンをおすと、決められた時間に雨の日は無人自動車が、晴れている日はドローンが洋服を運んでくれるのも述べたとおりだ。いくつかの服を実際に自宅で着て、返却分はドローンに渡す。その中から「今回は買っちゃおう」と「購買ボタン」を押し、服を買うことも可能だ。もちろん、お昼にお仕事にいっている場合は、近くのコンビニ、あるいは、郵便局などに置いておき、デジタル証明書を見せて商品が受け取れる。

 

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