阪急ブランドが浸透するエリアに絞り、深耕する! 阪急オアシス代表取締役社長 並松 誠
イズミヤとの連携を強化
──並松新体制のもと、次代の成長を視野に入れた基盤固めに着々と取り組んでいる印象です。
並松 そのなかで私のもっとも重要なミッションだと位置づけるのが、当社と同じエイチ・ツー・オー食品グループ(大阪府)の一員である、イズミヤとの連携強化です。16年4月、イズミヤがグループ入りし食品市場は競争が激化するなか、相乗効果を高めていくことは、競争力を強化するにあたっての要諦になると認識しています。
そのひとつの分野は物流。今のところ原則、各社が独自の取り組みをしており、一本化すれば大幅な合理化を期待できます。システム面も同様で、インフラで共通化できる部分については、徐々に連携強化に向けた話を進めていきたい。コストが高騰する時代にあっては、連携強化による費用低減は急務です。
──連携という点で、16年、エイチ・ツー・オー リテイリングと資本業務提携を締結した関西スーパーマーケット(兵庫県/福谷耕治社長)については、どうですか。
並松 物流やシステムはまだ難しいのですが、商品面では、すでに一部で取り組みがスタートしています。当社、関西スーパーマーケットで、ミナミマグロの共同仕入れを行っています。コンテナで輸入、各社が同じ商材を販売するという施策で効率化に貢献しています。
これら共通化できる分野は一緒に取り組むことで効率を上げ、一方、各社の特色、強みが発揮できる部分はマーケットに応じたブランド、屋号を展開、お客様の支持を獲得できればと思います。
──エイチ・ツー・オー食品グループには食品製造や加工を手掛ける複数の企業があります。
並松 パン製造の阪急ベーカリー、加工食品の阪急フーズ、また食品加工の阪急デリカアイやPCを運営する阪急フードプロセスなどです。それらの企業と連携した商品は、すでに販売し好評を得ています。今後はイズミヤを交えて、取り組みを強化、グループにおける食品事業活性化につなげていく考えです。
各種研修で現場力を育成
──現在の消費マインドについては、どのように見ていますか。
並松 日々、お客さまの動向を注意深く観察していますが、生活防衛意識が非常に強いと感じています。商品を複数の店で買いまわる方は多く、いいものを安く求めたいというニーズが徐々に大きくなっているとの印象です。
一方、阪急ブランドを信頼して買い物に来ていただいているお客さまも多く、そういった方の期待は裏切らないようにしたい。健康や美容関連の商品、ライフスタイルの提案に力を入れながら新しい商材にも積極的にチャレンジし、満足度の高い店づくりを進めます。
──価格訴求は強める方針ですか。
並松 激化する競争環境では、安さは重要な要素ですが、絶対的な低価格は追求しません。ただ値段のこなれたコーナーを設けるなど、お客さまが気持ちよく買い物できる手法は研究していきたい。同時に健康志向や個食対応、また話題の商品を他社に先がけて扱い、それをうまく表現できるような売場づくりも工夫、競合企業との差別化を図っていきます。
──最後に、今後の課題について教えてください。
並松 数多くありますが、教育はそのひとつです。現在、最前線でお客さまと接する店長を対象にした研修を定期的に実施しています。また新卒者を対象にした教育にも力を入れており、徐々に人材が育ちつつあると手応えを得ています。
これらにより現場力を伸ばし、ひいては着実に成長できるような基盤を固めていきます。