1フロアまるごと無償提供?人口減少地域で存続を模索するイズミヤがとった秘策とは
「資本主義の外側」での連携が投資を呼び込む
人口減少と高齢化が進むニュータウンでの、新たな「産官学連携」の試み。4月にオープンしてまだ2か月弱(取材時点)だが、人の流れが生まれたことでスーパーの売上にも「シャワー効果」の兆候がみられるようだ。
「約60名の職員がいる社会福祉協議会をはじめ、公共団体が『ゆいテラス』に入居したことで、食料品売場への弁当・総菜の購入が増えました。それに合わせ総菜コーナーでは供給量を120%に増産し、需要増に対応しています」
地域と店舗が協力し、持続的な経営を確立するためにも、短期的な数字をKPIに設定せず、まずは長期的にじっくりと集客を増やしていく姿勢だ。
「自治体や大学と連携することで、ひとつ発見がありました」と原田氏は語る。
「通常の事業者(テナント)であれば、高齢化が進む地域への出店は投資回収が見込めない、と判断しますよね。ところが、自治体は住民の福祉向上、大学は学生の研究機会の確保と、それぞれ民間企業とは異なるベクトルで活動しています。そのベクトルに沿った提案ができれば、投資対象として見てくれるし、人も呼び込んでくれる。今回の『ゆいテラス』の取り組みで、商業床活用の新たな可能性に気づいたのです」
イズミヤの「産官学連携」の試みは、まだ緒に就いたばかりだ。しかし、この「資本主義の外側」のプレーヤーとWin-Winを構築しようとする同社の挑戦は、人口減少と高齢化に直面するニュータウンで存続を模索する商業施設にとって、大きな示唆を与えるのではないだろうか。
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