ファッション誌凋落!メディア2.0時代のアパレルのマーケティング戦略とは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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雑誌の衰退は、環境意識の拡大

David_Ahn/istock
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 私は幾多のアパレル、マーケティング戦略の仕事をしてきた。何万人もの消費者調査をやってきたわけだが、結果を一言でいえば、女子たちが雑誌を読まなくなった理由は「ゴミになるから」が圧倒的だ。確かに、私もiPadのアプリ、Kindle500冊以上のビジネス誌やビジネス本をしまい、部屋をすっきり片付けた。また、新しい書籍はすべてiPadで読んでいる。聞けば、漫画や動画(映画などのDVD)もそうらしい。

  かくいう私も、ファッション雑誌は全く読まなくなった。理由は、YouTubeなどの動画にインフルエンサーが登場し、セレクトショップなどもYouTubeに独自チャンネルを出しており、これで十分だからだ。

  これに対し、女子が活用するメディアは、インスタ(写真)やインスタライブ(動画)、Tik Tok (動画)が圧倒的である。これら女子向けメディアに共通してるのは、動画が数十秒と短いことで、男性のYouTubeは最長でも15分以内である。この1015分の差は大きい。確かに、寿司屋でうんちくをあれこれ語るのは男性が多い。あれこれ理屈やストーリーを気にするのは男性で、瞬間的な「かわいさ」で購買するのが女性である。今、圧倒的な市場規模を構成する女性向けプロモーションは「瞬間芸」で、男性はストーリーだ。

  このように、今、アパレル業界は、ファッションを牽引してきた雑誌に変わる媒体を掌握すべく試行錯誤中だ。だが、「活字から音声、そして、動画へ」とファッションメディアの役割が変化してゆく中、まだまだ黎明期であるメディア2.0の姿を掌握している企業は少なく、混沌としている。ヒカキンが億万長者になり、ピコ太郎が世界的スターのジャスティンビーバーのワンクリックで紅白に出演し海外ロケをするほど成長する、いわゆるユニコーン・パーソンを生み出す力をSNSはもっている。

  やがて、企業のファッションプロモーションもこうしたメカニズムを枠組み化し、また、どこかの企業が大きな投資を行って、雑誌に変わる新たな存在がファッションを牽引する時代が来るだろう。デジマ(デジタルマーケティング)など、技術目線の消費者ニーズ無視したマーケティングに投資をするぐらいなら、もっと女子達のライフスタイルを研究し、彼女たちの情報ソースを奪う、あるいは、思い切った投資を行って自ら作り上げるべきだ。今、ライブコマース・プラットフォームを立ち上げるスタートアップも続々登場している。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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