「デジタル化と小売業の未来」#8 ワークマンが実店舗での返品対応を強化するワケ
アメリカでは返品専用のプラットフォームも
実際、日本の小売業界の数年先を行くアメリカでは返品専用のプラットフォームもあり、自社ブランドが返品できるのは当然ながら、他社のブランドやECサイトで購入したものまで返品可能なのです。これが高い集客効果となり、他の商品の販売につながっているのです。これは日本で言うと、コンビニにおける宅配サービスや商品の受け取りと同じで、宅配サービスのついでにガムや飲料といったついで買いを促進することに似ています。店舗にさえ来てくれれば、店舗内でブランドの世界観を伝えることができるため、このような思い切ったサービスを実行しているのです。
返品を積極的に受け入れようとする際、その基準を決める必要がありますが、なかには安い商品であれば返品不要とにしているECも存在します。返品対応のやりとりには、人件費や送料などさまざまなコストがかかるため、返品不要で新しいものを送る方がトータルの費用が安く済むという判断なのです。
このように、返品対応1つをとっても手間やコストが先行してネガティブに捉えている方も多いかもしれませんが、実はそんなひと手間の中にもリアル店舗が生き残る術が隠されているのです。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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