「デジタル化と小売業の未来」#8 ワークマンが実店舗での返品対応を強化するワケ

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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ワークマンに返品に来るお客はLTVが高い

  ECでは、基本的に試着やサイズの間違いによる返品ができません。そのため、実店舗ではもっと商品に触れられる場所を設けてECではカバーできないニーズに対応する必要があります。たとえば、試着室を2倍に増やしたり、返品コーナーを店舗内の目立つ場所に設置したりすることも重要な施策となっています。とくに返品に関しては、ECでは満足な顧客体験を得られることがまだ少ないため、来店した人にしっかりアピールして対応できるようにしておく必要があります。そのためには、ECと店舗が連携した高い互換性も重要となります。

返品対応の強化が集客にもつながる
返品対応の強化が集客にもつながる

 急成長を続けるワークマン(群馬県/小濱英之社長)でも、サイズ違いでの返品を求める声が多いそうです。ふつうの会社であれば、返品が減るように努力することが多いのですが、彼らは店舗での返品・交換はウェルカムだと言います。なぜなら、データを取ってみた結果、返品・交換に来るお客はLTV(顧客生涯価値)や購入率が高く、返品のついでに別の商品を購入することも多いからです。返品・交換対応を強化することは、店舗への誘導・売上アップのために効果的だと判断し、店舗までの地図がすぐに表示できるようモバイルサイトのUIを変更するなどの取り組みを行っているとのことです。

 

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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