好決算のヤオコー、明らかにしたDS業態「フーコット」の戦略と次期中計の中身とは?
ディスカウント業態「フーコット」始動!
さて説明会では、ヤオコーの新業態「フーコット」についても発表された。
ヤオコーは2月1日に新会社フーコット(埼玉県/新井紀明社長)を設立している。「Food Cost Performance Market」を意味するフーコットでは、「商品の圧倒的な安さと鮮度、品揃えで満足できる店」という店舗コンセプトを掲げている。
フーコットについて、川野社長は「エイヴイ業態をコピーして展開する」とコメント。22年3月期は、21年夏オープン予定の1号店「フーコット飯能店」(埼玉県飯能市)のほか1店舗、合計2店舗を出店するとしている。
「エイヴイの物流を含めたオペレーションは横須賀のプロセスセンター(PC)から組み立てられている。フーコットも早いタイミングでプロセスセンターを稼働させ、5~10店舗の塊をつくりたい」(川野社長)。
なぜ、ヤオコーがディスカウント業態なのか。その背景にあるのは、中計でも言及された、コロナ禍による景気低迷への懸念だ。「(コロナ禍を背景に)欧州ではアルディやリドルなどのディスカウンターがシェアを伸ばしている。米国でも、ウォルマートが総合ストアのスタンダードと言えるポジションを確立しており、価格対応は今後必須となるだろう」と川野社長は話す。
ヤオコーが商勢圏とする埼玉県では、生鮮食品を備えたドラッグストア、いわゆる「フード&ドラッグ」を展開するクスリのアオキ(石川県/青木宏憲社長)が店舗数を拡大させているほか、食品の低価格販売を武器に出店攻勢をかけるコスモス薬品(福岡県)もすでに埼玉県内に2店舗出店している(21年4月末時点)。また、オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)やロピア(神奈川県/高木勇輔社長)などディスカウントスーパーも急成長中だ。これら有力プレイヤーと対抗するという意味でもフーコットにかかる期待は大きいはずだ。
ヤオコーは10次中計でも「グループでの商圏シェアアップ」を掲げており、「ヤオコーとディスカウント業態を進化させることで地域のすべてのお客さまにご満足いただく」(決算説明会資料より)としている。ディスカウント業態の展開がシェア向上にどれほど寄与するか。まずは1号店の動向に注目だ。