「顧客の感動を呼び起こす」テクノロジー活用の実践アプローチ
顧客の買物のパラダイムシフトに対応
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)は、首都圏の食品スーパー(SM)の、マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の共同持ち株会社。U.S.M.Hでは第1次中計で「次世代の経営環境に対応した事業インフラ構築」を目的に、DX(デジタルトランスフォーメーション)による価値創造・生産性向上に着手した。コロナ禍での急激な環境変化に対応して、第2次中計(2020-2021年)では、「新しい働き方に対応したSM基幹システムへの移行」と「デジタルによる新たな顧客体験の創造」をテーマにして、急ピッチでデジタル変革を進めている。
昨年以来のコロナ禍を経て、顧客の買物のパラダイムシフトが加速している。この顧客の買物のニューノーマル(新しい様態)への対応が課題だ。コロナ禍が広がる前は、お客さまの購買行動は認知、興味を持ち、スマホ等で検索、買った後は使用感をSNS等で発信するなど、「商品中心のカスタマージャーニー」だったが、コロナ禍の拡大期に入ると、「混雑するところに行きたくない」「レジに並びたくない」、「店舗サービスに感動した」「また、この店を利用したい」といった、「商品と店舗サービスを中心としたカスタマージャーニー」へとへと変化し、より店舗サービスの重要性が増している(図表①)。
今後、2024年までに「SMのニューフォーマット創造」に向けたプラットフォームを構築していくためにデジタルの投資を継続的に行っていく。ニューフォーマットは、フィリップ・コトラーが提唱する「リテール4.0」をベースにして、U.S.M.Hでは「突き抜け鮮度」「商品との出会い」「豊かな時間の創出」「つながりの創出」といった提供価値を創出し、「お客様に選ばれ続ける」新業態店舗づくりを目指していく。
「ignica」のブランドでデジタルサービスの提供を加速
デジタル事業のサービスマップでは、新たに「ignica」のブランドでデジタルサービスを開発して顧客に提供していく。ミッションとして、「新しいスタイルや信条を持った人生を点火するデジタルサービスを創る」を掲げている。今年2月には、すでに展開しているScan&Go(スキャンアンドゴー)や「U.S.M.H オンラインデリバリー」といったサービスを紹介するWebサイト「イグニカドットコム」をスタートした(図表②)。
Scan&Go、オンラインデリバリーのサービスはU.S.M.Hとシステムパートナーと共同開発した。すでにカスミ、マルエツ、マックスバリュ関東の163店舗(2021年1月30日時点)で稼働している。コロナ禍で急速に利用者が増えているため、今後、導入店舗を急ピッチで拡大していく。売場で運用しているデジタルサイネージのサービスは、2021年度末までに295店舗・2950画面の展開を計画している。AIカメラを活用して、動画広告の測定に取り組んでいる。今後はPOSデータと連動したデータの分析・活用やアプリとの広告連動にも生かしていく。
食品宅配サービス「Online Delivery ignica(オンラインデリバリー イグニカ)のWEBサイトを開設し、U.S.M.HのPB商品からオンラインデリバリー専用のミールキット「eatime chef イータイムシェフ」の展開も開始した。
その他、デジタル変革を通して、買物弱者の支援や行政と連携した先端的なサービスの提供、ロボットの研究開発など、新たな価値の創出と社会課題の解決にもつながる取り組みを進めていきたい。
各プログラムの詳細
下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。