激変するコンビニ事業環境 ローソン、親会社三菱商事の次の一手はあるのか?
コンビニ業界、トップライン牽引型の事業モデルは抜本見直しへ
これまでのコンビニ業界は規模の拡大とプライベートブランド(PB)の拡充で粗利益を高めてフランチャイズ加盟店を潤すトップライン牽引型の事業モデルで繁栄したと思います。しかし現在はそのトップラインを維持するのが難しい環境へと変わりました。
したがって、コンビニ業界は事業モデルの再構築に全力で取り組まざるを得ない局面だと考えます。その方向感は
- 短期的には、スマホアプリなどを通じた集客エンジンの強化、顧客体験の改善、および店舗オペレーションの省人化を一気に進める
- 中期的には、ヘルスケア商品などの高粗利商品の拡充を進め、さらに直営型事業モデルの模索を進める
三菱商事がローソンに対して次の一手を打ち出す可能性
セブン&アイの場合、次期中期計画で具体策の方向性が示されると
一方、ファミリーマートについては、伊藤忠が実質的に完全子会社化(出資比率94.7%)をしています。これは伊藤忠の総合商社としてのネットワークのなかでファミリーマート事業を再定義するものです。伊藤忠の比較的安定した収益基盤の中で、ファミリーマート事業については目先の利益に囚われすぎず思い切った打ち手をとっていく、そうした意思表示だと筆者は考えます。
ではローソンの親会社である三菱商事は動くのでしょうか。
筆者は、三菱商事がローソンへの関与をさらに高めるべく検討を行う可能性が高いと考えています。その理由は次の通りです。
- ローソンの置かれている状況はファミリーマートとほぼ同じで事業見直しの喫緊性が高いこと
- このためには三菱商事系列のPontaとの連携強化だけではなく三菱商事のネットワークを活用する必要が高いこと
- ローソン株価が現状低く、三菱商事が株を買い増す負担が低いこと。
- 三菱商事は千代田化工建設、三菱自動車などの親密企業の不振対応をひとまず完了し、新年度以降は景気回復に伴う収益回復が期待できるため、ローソンの抜本改革を推進する財務的余力が高まりそうなこと
ただし、三菱商事単独で動くのではなく、新たなパートナーと座組みをする可能性も高いと思います。
ということで筆者は現在三菱商事がローソンへの関与を高めるのか、
椎名則夫の株式市場縦横無尽 の新着記事
-
2024/09/24
クシュタール買収提案でセブン&アイがいますぐすべきことと3つのシナリオとは -
2024/08/19
円安修正で国内成長力に再注目!良品計画に広がるチャンスと課題とは -
2024/07/08
アインHD、フランフラン買収で変わる?株主総会の争点とは -
2024/06/07
連続増収増益途切れ、株価下落のニトリHDの意外な実態と今後 -
2024/05/09
小売業界新たなフェーズへ!平和堂の株価上昇が意味することとは -
2024/04/08
新中期計画は株主の期待に応えているか?好決算発表後、しまむら株価が下落した理由
この連載の一覧はこちら [60記事]
関連記事ランキング
- 2024-09-11コンビニ売上ランキング2024 業績好調の3強は独自の成長戦略進む
- 2020-03-30彷徨うコンビニその7 山崎製パンがデイリーヤマザキを手放せない事情
- 2024-10-28業態別 主要店舗月次実績=2024年9月度
- 2023-08-02スピードウェイを取り込んだセブン-イレブンは米コンビニ市場の覇権を握ることはできるか?
- 2024-09-3048兆円市場の各社のシェアがわかる!食品小売、市場規模&占有率2024!
- 2024-02-28速報!セブン-イレブンの「SIPストア」ついに開業 写真で見る新コンセプト店の全貌とは
- 2024-04-16週刊コンビニエンスストアニュース 大手コンビニ3社の決算、売上高・利益ともに大きく伸長
- 2024-08-12ファミマ、好調リテールメディアのさらなる拡大に向け新サービスを開始!
- 2024-09-26コンビニ業界、上位企業シェア率ランキング2022、2023!
- 2024-04-0425年の既存店粗利は70億円伸長へ!ローソンの新発注システムAI.COの成果とは