「100年視野に働き甲斐ある会社めざす」5期連続で増収増益の平和堂=夏原平和社長
ハレの日に期待される店
──店づくりが変化し始めたのはいつ頃からですか。
夏平 12年8月の「フレンドマート大津京店」(滋賀県大津市)、13年8月の「平和堂グリーンプラザ店」(愛知県名古屋市)あたりからです。新店のたびに、それまでの取り組みをさらに進化させた品揃え、売場づくりを行うといった、好循環が生まれるようになりました。
従来の店から一皮むけたなと実感したのは14年4月、大阪市内にオープンした近隣型ショッピングセンターの「フレンドタウン深江橋」です。核店舗には直営のSM「フレンドマート深江橋店」が入っているほか、ファッションをはじめとする物販、飲食、サービス関連のテナントが多数入る商業施設です。
──深江橋店はどのような店だったのですか。
夏平 SMでは青果部門で地場産商品を充実させるほか、個食や簡便商品を多数品揃えしました。カラーコントロールにも配慮しながら、高質な雰囲気を演出。鮮魚では対面コーナーを導入し、直送鮮魚を扱うなど鮮度を追求。担当者が常に売場に立ち、料理提案をするなど売り方も工夫しました。総菜は、素材やできたてにこだわった商品を拡大、都市部の即食ニーズに応えました。
実はこの深江橋店は、大通りから少し入った場所にある目立たない立地で、最初は苦戦しました。売場面積は1983㎡と当社のSMとしては大型で、しばらくはロスも多く出していたのですが、店長が、粘り強く当初の売場を維持したことで徐々にお客さまからの支持を獲得、売上も順調に伸びた経緯があります。
──昨年あたりの新店からは、次々と新しいチャレンジも見受けられます。昨年7月、石川県金沢市に開業した「アルプラフーズマーケット大河端店」では、従来にないコーナーを積極的に展開していました。
夏平 大河端店は、商圏内に有力な競合店が多く、とくにDS型のSMも点在する流通激戦区にあります。これに対し、当社では価値訴求型の商品を充実させたほか、新たな売場も積極的に取り入れ、差異化を図りました。
青果部門では対面コーナーを取り入れ、カットフルーツのほか、フレッシュジュースを提供。総菜部門では、できたてのポップコーンを販売する「ポップコーンファクトリー」を導入しました。
とくに力を入れたのは酒類売場です。約100坪を確保し、石川県産の地酒やワインを充実させました。
競争の激しい場所だけに、今もノウハウ構築に向け模索中ですが、年末、お正月はかなり売れました。鮮魚、精肉といった生鮮食品のほか、もっとも動きがあったのは日本酒で、予算を大幅に超える売上高で推移しました。
──平和堂の特徴を地道に伝えることで、ハレの日に期待される店として認知されたのですね。
夏平 店をよくするため、オープン後も皆でアイデアを出し合い改善に努めています。さらに支持を得られる店になるよう、全員参加の店舗運営をめざしています。
左: 年々、品揃え、店づくりの手法を進化させている。14年4月オープンの「フレンドタウン深江橋」(大阪府大阪市)は、夏原社長いわく「一皮むけた店舗」だ
右: 新店のたびに新たな売場づくりにチャレンジしている。15年7月オープンの「アルプラフーズマーケット大河端」には、100坪の酒類売場を設け、地酒やワインを充実させた