高質と効率を同時に実現、経営改革を加速する=三越伊勢丹フードサービス 内田 貴之 社長

聞き手:下田 健司
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SMと百貨店の経営資源を統合

──三越伊勢丹フードサービスの強みについては、どのようにとらえていますか。

内田 当社は、三越伊勢丹グループを中心に食品製造・卸売を手がける二幸とクイーンズ伊勢丹が11年に合併して発足しました。そのため、旧二幸の百貨店向けの製造工場が2カ所と、クイーンズ伊勢丹向けの工場が1カ所で計3カ所の工場、そして物流センターがあります。

 店舗は、クイーンズ伊勢丹が18店舗、「クイーンズアイ」という小型店舗が2店舗の計20店舗です。このほか、伊勢丹新宿本店の青果売場がそうですが、百貨店の食品売場の一部を運営しています。青果だけでなく、精肉、塩干、食品などのショップを数えると、現在、百貨店17店舗で31ショップを運営しています。

 3つの工場、物流センター、そして百貨店内のショップを含めた店舗網。これだけのリソースを持っていることは、われわれの大きな強みです。2年前に1つの会社になりましたが、これらのリソースは、今はまだバラバラです。これを統合し、串刺しにするような組織・運営でリソースをもっと有効に活用したいと考えています。

 たとえば、青果があります。伊勢丹新宿本店のフルーツは、大田市場で買参権を持っている当社のバイヤーが、競り落としてきたものです。大田市場では最高級品を最優先で、伊勢丹新宿本店向けに確保してもらっています。立川、松戸、府中、浦和などの伊勢丹の青果も当社が仕入れを行っています。SM向けに仕入れた青果を含めて、カテゴリーキラーに負けないような、三越伊勢丹フードサービスの青果という、統合されたビジネスを構築したいと考えています。

 また、百貨店の店舗運営は、専門店が集まったショップ形式ですから、統一した売場提案は難しいということがあります。その点、SMは部門間連携による、MDの提案力があります。その強みを生かし、クイーンズ伊勢丹の百貨店バージョンを百貨店の中に展開できないかというアイデアも検討しているところです。

 SMと百貨店のリソースやノウハウを統合する。これにより、ディスカウントストアとは対極にある、SMと百貨店を融合させた新しいビジネスモデルを構築する。今年度から始まる3カ年計画の中で、1つの形にしていきたいと思っています。

三越伊勢丹フードサービス

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