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ストアオブザイヤーからみる小売の流行と歴史 第1回〜第33回までの受賞店舗を一挙掲載

ある方から、「『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の“ストアオブザイヤー”を毎年楽しみにしている。この10年くらいはわかるんだけど、それ以前にはどんな店舗が1位を獲っているのか教えて欲しい」と尋ねられた。過去に「(ストアオブザイヤーを決めることで)『時代の価値観』の変遷を記録したい」と書いた私ではあるが、その変遷をしっかりまとめたことがなかったという反省に立ち、今回は、「ダイヤモンド・チェーンストア」誌(2016年までは「チェーンストアエイジ」誌)が発表した過去33回のストアオブザイヤー第1位受賞店舗を一挙掲載する(第1回は1988年発表で対象期間は1987年1月~12月。以下、同様)。その時々の編集長によって選出方式が変わっているなど、新しい発見があったことも付け加えておきたい。

第33回(2020年) ストアオブザイヤー第1位受賞店舗 サミットストア テラスモール松戸

第1回〜第15回

 第1回(1988年) ニッショーストア池田(兵庫県) 
※ニッショーは現在の阪急オアシス

 第2回(1989年) 
GMS(総合スーパー)部門 西友長浜楽市(滋賀県)
SM(食品スーパー)部門 いかりスーパーマーケット塚口(兵庫県)

 第3回(1990年) 
SC(ショッピングセンター)部門 マイカル本牧(神奈川県) 
※マイカルは現在はイオングループ入り
GMS部門 イトーヨーカドー郡山(福島県)
SM部門 ニッショーストア寝屋川(大阪府)

 第4回(1991年) 
SC部門 イズミヤカナート西神戸(兵庫県)
GMS部門 ダイエーハイパーマート二見(兵庫県)
SM部門 ヨークベニマル東根(山形県)

 第5回(1992年) 
SC部門 藤越スーパーセンター谷川瀬(福島県)
※藤越はヨークベニマルが吸収合併
GMS部門 ダイエー横須賀(神奈川県)
SM部門 ヨークベニマル御幸が原(栃木県)

第6回(1993年)ストアオブザイヤー第1位受賞店舗 KOU’sハーバーランド

 第6回(1993年) KOU’sハーバーランド(兵庫県)
※KOU’sはウォルマートのSam’s CLUBを模したダイエーの会員制ホールセールクラブ

 第7回(1994年) イトーヨーカドー古淵(神奈川県)

 第8回(1995年) 上越ウイングマーケットセンター(新潟県)

 第9回(1996年) ジャスコパワーシティ四日市(三重県)
 ※ジャスコは現在のイオン

 第10回(1997年) キャナルシティ博多(福岡県)

 第11回(1998年) マイカル明石(兵庫県)

 第12回(1999年) 横浜ベイサイド マリーナショップス&レストランツ(神奈川県)

 第13回(2000年) ヴィーナスフォート(東京都)

 第14回(2001年)ストア・デザイニング賞 
REI東京フラッグシップストア(東京都)

 第15回(2002年) ストアセレクト(6店舗選出、順位はなし)
ラ・フェット多摩南大沢(東京都)
ヤオコー狭山(埼玉県)
ヤマナカ岐阜フランテ館(岐阜県)
大丸ピーコック石川台(神奈川県)
トイザらスお台場(東京都)
スターバックスコーヒージャパン

第15回〜第33回

 第16回(2003年)  クイーンズ伊勢丹錦糸町(東京都)

 第17回(2004年) ヤオコー川越南古谷(埼玉県)

 第18回(2005年) ヤオコーワカバウォーク(埼玉県)

 第19回(2006年) ecute(エキュート)大宮

 第20回(2007年) フードストアあおき豊洲(東京都)

 第21回(2008年) ヨークベニマル小山ゆうえんち(栃木県)

 第22回(2009年) ザ・プライス川口(埼玉県)
※ザ・プライスは、イトーヨーカドーのディスカウントストア業態

 第23回(2010年) ヤオコー新座(埼玉県)

 第24回(2011年) 阪急オアシス南千里(大阪府)

 第25回(2012年) 阪急オアシスえるむプラザ(兵庫県)

 第26回(2013年) ヤオコー川越的場(埼玉県)

第27回(2014年)ストアオブザイヤー店舗部門第1位受賞店舗 ヤオコー東大和

 第27回(2014年) 
店舗部門 ヤオコー東大和(東京都)
商業集積部門 イオンモール幕張新都心(千葉県)

第28回(2015年)ストアオブザイヤー店舗部門第1位受賞店舗 鮮Do! エブリイ海田

 第28回(2015年) 
店舗部門 鮮Do! エブリイ海田店(広島県)
商業集積部門 イオンモール岡山(岡山県)

第29回(2016年)ストアオブザイヤー店舗部門第1位受賞店舗 阪急オアシス箕面船場

 第29回(2016年) 
店舗部門 阪急オアシス箕面船場店(大阪府)
商業集積部門 ゆめタウン廿日市(広島県)

 第30回(2017年) 
店舗部門 IKOCCAエブリイ駅家店(広島県)
商業集積部門 三井ショッピングパークららぽーと湘南平塚(神奈川県)

 第31回(2018年) 
店舗部門 阪急オアシス伊丹鴻池店(兵庫県)
商業集積部門 LECT(広島県)

 第32回(2019年) 
店舗部門 キッチン&マーケットルクア大阪店(大阪府)
※阪急オアシスが開発したグローサラント業態
商業集積部門 イオンモール津南(三重県)

 第33回(2020年) 
店舗部門 サミットストア テラスモール松戸(千葉県)
商業集積部門 渋谷パルコ(東京都)

ストアオブザイヤーの歴史を振り返って

 歴史を振り返ってみると、1980年代後半から1990年代中ごろまではGMS(総合スーパー)の時代だった。というよりは、故中内功さんが率いるダイエー(東京都/近澤靖英社長)の時代だったと言っていい。スーパーセンターの「ハイパーマート」(ダイエーハイパーマート二見店)やGMSを核にしたショッピングセンター「ショッパーズプラザ」(ダイエー横須賀)、会員制ホールセールクラブの「KOU’s(コウズ)」などは特に業態開発の面で小売業界を牽引。ストアオブザイヤーは、その都度、その革新性を評価してきた。そこに効率・品質経営のイトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)が割って入るという構図がしばらくの間続いた。

 風向きが変わってくるのは、1990年代中盤からだ。超大型ショッピングセンターが日本の津々浦々に花咲く時代を迎えた。バブル経済が弾けたにもかかわらず、まだ景気が良かった、あるいはバブル期に仕込んだ物件が開業したためだろう。1991年に大規模小売店舗法の定める商業活動調整協議会(商調協)が廃止されてから、運用が大きく緩和され、それが起点となったものとみられる。ディスカウンター(DS)のカウボーイを核にした上越ウイングマーケットセンター、食品スーパー(SM)のマックスバリュー(当時の表記)とDSのメガマートを組み合わせたジャスコパワーシティ四日市。キャナルシティ博多、マイカル明石、横浜ベイサイド マリーナショップス&レストランツ、ヴィーナスフォートと実に6年間にわたってショッピングセンターが第1位を獲得することになった。

 2000年代前半からは、SMの時代となり、現在も続いている。

 2010年代は、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)と阪急オアシス(大阪府/並松誠社長)が、交互に受賞を繰り返し、「西の阪急オアシス、東のヤオコー」という構図を築いた。そこにローカルSMのエブリイ(広島県/岡﨑浩樹社長)が割って入る。実は、阪急オアシスは2006年に、第1回・第3回のストアオブザイヤーを獲得したニッショーを買収している。これを組み込むと、全33回のうち阪急オアシスが7回、ヤオコーが6回(同一企業では最多)受賞していることがわかる。

 そして昨年は、首都圏SMの雄ともいうべきサミット(東京都/服部哲也社長)のサミットストア テラスモール松戸が受賞し、新風を起こしている。

 今年も『ダイヤモンド・チェーンストア』誌3月15日号でストアオブザイヤーを発表する。読者参加型企画なので、ぜひとも投票いただきたい。よろしくお願いします。