イノベーションの5段階ピラミッド 競争優位を保つためにはどのような種類のイノベーションが必要か

千田直哉
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永続的な競争優位を可能にするマネジメントイノベーション

 最後の5番目は、マネジメントのイノベーションだ。「人間が働く、その方法自体を新しくすること」であり、「これに成功すると、永続的な競争優位を得ることができる」とハメル氏は言う。ハメル氏は、ゼネラルモーターズの部門組立構造やトヨタ自動車のカイゼンなどを例証に挙げ、半世紀程度は競争優位を保てるとしている。

 これら5段階についてみてみると、イノベーションの階層が上がれば上がるほど、モノマネされにくくなる一方で、実践にあたっての難易度も高くなっていることが分かる。
 そして5番目の最高域に達した小売業のイノベーションを寡聞にして私は思いつかない。

 さて、新型コロナ禍に揺れる日本の産業界でも、“働き方改革”が企業ごとにそれぞれ導入されるようになってきている。けれども、まだ個人任せのような部分が大きい。しかし実は、その方針と実践の中にこそ最大のイノベーションの芽が宿っているかもしれないことを経営者は胸に刻む必要があるだろう。

<ゲイリー・ハメル氏の既刊本>

「経営の未来」表紙

『経営の未来』
出版社 : 日本経済新聞出版
発売日 : 2008年2月
価格:2420円(税込)

 

 

「経営は何をすべきか」表紙

『経営は何をすべきか』
出版社 : ダイヤモンド社
発売日 : 2013年2月
価格:2420円(税込)

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