激動の流通 #4 ニトリ、売上高3兆円までの道のり

森田 俊一
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「3兆円」までの道のり

 家具・インテリアを越えてアパレルまで取り扱いを増やしたニトリが今後、さらなる新カテゴリーに挑戦するかどうは定かではない。ただ、2032年に売上高3兆円の達成をめざすニトリからすれば、家具・インテリアだけでは足りないと判断しているのは確かだろう。

 家具・インテリアの国内市場は約1兆円程度と言われている。21年2月期に売上高7026億円を見込むニトリは、すでに同市場の圧倒的トップに君臨している。国内はニトリによる寡占状態といってよく、このまま家具・インテリア専門店を増やしても国内での伸びしろは限定される。

 もちろん、現在進出している米国や中国で大成功を収めれば、3兆円もそれほど高いハードルではない。だが、国内市場を考えると、どうしてもパーツが足りないのだ。

 アパレルでは、「ユニクロ」がSPAで業界を席巻している。ニトリも同じSPAモデルによる低価格のアパレル製品ならば勝算はあると判断したのだろう。

島忠買収は“お値段以上”か

 ニトリは周知の通り、島忠の争奪戦でDCMとの間に割って入り、DCMよりも高いTOB(株式公開買付)価格を提示し、勝利を勝ち取った。“後出しジャンケン”と言われようが、“強引”というイメージが付こうが、是が非でもニトリは島忠を獲得したかったのだろう。

 ニトリにとって島忠は“お値段以上”の買い物だ。島忠は肥沃な首都圏に店舗網を持っている上、ニトリからみれば品揃えの幅が広げられるというメリットがある。巨額の投資になるが、成長のための時間と人材も買えることを考えると、よい買い物と言っていい。 

 今回の島忠へのTOB、そして、アパレル専門店を拡大していることを踏まえると、今後のニトリは、家具・インテリア以外のラインを増やしていく公算が強い。果たしてニトリは強みとするSPAモデルを応用し、家具・インテリアにとどまらない、幅広いカテゴリーで成功を収めることができるのか。2021年もニトリの挑戦に期待したい。

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