脱中央集権型、大髙善興がめざす「ヨークベニマルマネジメントシステム」の真髄
ヨークベニマルは、日本のチェーンストア界に大きな影響を与えたことで知られる経営コンサルタントの渥美俊一氏(1926-2010年)が率いたペガサスクラブの発足時からメンバーに、紅丸商店として名を連ねた。渥美氏とヨークベニマルの間にはどのような交流があったのか。ダイヤモンド・チェーンストア誌で「革命一代 評伝・渥美俊一」を連載する著者がその足跡をたどる。
ペガサスクラブ発足メンバーに名を連ねる
ヨークベニマル現会長の大髙善興氏は、高校卒業後の1958年に家業に入り、23歳で肩書こそ常務となったが、常に両親と兄たちを助け、店頭で働きつづけた。
読売新聞の記者であった渥美俊一氏が1962年に結成したペガサスクラブは、最盛期には1000社を超える会員企業を抱えた。その発足メンバー13社のうちの1社が当時の紅丸商店である。結成時のメンバーは、「50年かけて日本に流通革命を起こすのだから」という理由でおおむね40歳までを、また、「大手銀行の支店長にまともに相手にされない若造では経営者は務まらないから」と30歳以上を、渥美氏はおおよその加入条件とした。
紅丸商店の創業社長で当時53歳の大髙善雄氏は、この条件に当てはまらない。そこで、長男で、当時26歳の善兵衛氏と親子で加入することで認められ、ダイエーの中内㓛氏、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊氏、岡田屋(現・イオン)の岡田卓也氏らとともに結成メンバーとなっている。
ヨークベニマルを「日本のスーパーマーケットのお手本」と高評していた渥美氏は、「コロッケを食べてみればその店の総菜の水準がわかる」と断言しつづけた。また、「そのことを私に教えてくれたのは、ヨークベニマルの大髙善雄さんと、マルエツの高橋八太郎さんだった」とも明かしていた。
「とくに大髙さんには、『渥美さん、その店の総菜のよしあしを知りたければ、コロッケを買って、その場で食べればいいんですよ。すぐにわかりますから』と教わったんです」
「ヨークベニマルマネジメントシステム」とは
誠実にして先駆的な経営者の助言を終生、渥美氏は実践した。
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