サラヤ 衛生・環境・健康 3つの事業領域で 人と環境にやさしい 商品を提供する!
日本初の薬用石けん液と容器を開発し、1952年に創業したサラヤ(大阪府/更家悠介社長)。以来「、衛生」「環境」「健康」の3つを事業の柱とし、より豊かで実りある地球社会の実現をめざしている。新型コロナウイルスの影響によって衛生商品が大きく伸長するなか、環境や健康分野ではどのような成長戦略を描いているのか。コンシューマー事業本部 本部長の山田哲氏に聞いた。
コロナ禍で若年層を中心に主力商品が好調
──まずは直近の業績について聞かせてください。
山田 当初、2020年は環境意識が高まるターニングポイントの年だととらえていました。というのも、7月1日からのレジ袋有料化に加え、2020年東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定だったからです。今回大会では「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献を掲げており、大会組織委員会は大会で使う食品の調達基準に、「持続可能なパーム油のための国際規格認証」(RSPO認証)を受けたパーム油を使うことを推奨しています。当社でも以前から環境対応の洗浄剤にはRSPO認証油を採用し、普及に努めていたこともあり、6月頃から環境商品が伸びるのではないかと予測していました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。衛生商品の需要が高まりました。
──コロナ禍で衛生商品が売上を大きく伸ばした一方、環境商品はいかがでしたか。
山田 環境分野における主力商品といえば、1971年に誕生したロングセラーブランドの「ヤシノミ®洗剤」のほか、天然界面活性剤を使用した「ハッピーエレファント」があります。原料生産地であるボルネオ島の生物多様性を守り、持続可能な原料調達から得られた植物原料をもとに、サラヤ独自の新技術を加えて生まれたブランドです。ボルネオ生態系の頂点にいるゾウが幸せになれば、それは未来にきれいな環境が残せた証しであることから、この名が付けられました。天然酵母の発酵から生まれた天然洗浄成分ソホロ(※)を配合し、手肌にも環境にもやさしい洗剤です。環境意識の高まりを背景に、こうした商品のニーズが高まると予測していたものの、当初は成長が危ぶまれる状況でした。しかしながらコロナ禍で一転。蓋を開けてみれば「衛生」「環境」「健康」のいずれの分野も大きく伸びています。
その理由として3つ挙げられます。まず、巣ごもり生活によって在宅時間が長くなり、家事が増えたことです。2つめは、アルコール消毒の頻度が上がったことで手荒れが増え、肌へのやさしさの意識が高まったこと。3つめは、2007年に改正された学校教育法によって、環境教育が充実した結果とみています。SDGsやCO₂削減について子供の頃から学んできた世代が20代30代になり、「どうせ買うなら環境に配慮した商品を」と考え、購買に結びついています。
※ソホロ:植物油と糖を栄養に、酵母が発酵で生み出した天然洗浄成分。特許取得済み。