コロナ特需だけじゃない ケンタッキーフライドチキンの既存店売上高が23カ月中22カ月プラスの理由

2020/06/19 05:55
    兵藤雄之
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     18年7月以降、1カ月を除いてすべて既存店がプラスに

     日本KFCホールディングスの20203月期は、チェーン全店売上高が過去27年間で最高の売上を達成した。

     しかしほんの数年前には、同社は別の顔をしていた、客数の減少が続き、20183月期は2年連続で売上減。営業利益にいたっては前年同期比わずか16.6%、上場以来最低の4.7億円にまで落ち込んでいた。

     その同社が浮上のきっかけをつかんだのが20187月だ。税込価格500円のランチを、期間限定で初めて投入、それまで9カ月連続で前年実績を下回っていた既存店売上高、同客数がプラスに転じたのだ。

     その後、1811月に一度、前年を下回ったが、それ以後、現在(20205月)に至るまで既存店の売上高、客数は前年プラスを持続している。

     この一気の反転には、割安なセットメニューの定番化(500円ランチは20201月から通常メニューに)、定期的な期間限定商品の投入、フラットプライスでの提供(税込でそれぞれ500円、1000円、1500円のセット商品)等による効果が大きいといわれている。

     この間、同社広報では、KFCの“日常化”に取り組んできたという。

     ケンタッキーフライドチキンといえば、「その味へのあこがれも含めて、クリスマスなど特別なときにみんなで食べるもの」というイメージが強い。月別の全店平均売上高を並べてみれば、12月の売上高が突出したものになっている。

     しかしながら、20183月期から203月期の3年間、それぞれの年の平均月商を基準に、月ごとの平均売上げを指数化してみると、ケンタッキーフライドチキンの“日常化”への変化が見て取れるのだ。

     

     183月期のボトムは2月で、12月との差は「2.1倍」、1935月で「2.06倍」、20年もボトムは5月で、12月との差は「1.83倍」と、年々、ボトムとトップの差が縮小してきている。しかも、この間の平均月商は、183月期の840万円から、193月期888.5万円、そして203月期は過去20年間で最高の974.9万円へと増加を示しているから、全体の底上げをしながら、KFCの日常化が進んできているのだろう。

     

     新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレビCMの世界も自粛ムードが漂っている。そうしたなかで流される「今日、ケンタッキーにしない?」というパンチの効いたCMは新鮮だ。業績好調ぶりとも重なって、withコロナ、afterコロナの“新しい日常”のワンシーンにも感じられる、といったら言い過ぎだろうか。

     2020年は日本KFC創業50周年。次の50年に向けて、ケンタッキーフライドチキンは、新しい生活様式のなかに日常食として根付いていくのだろうか。

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