コロナ特需だけじゃない ケンタッキーフライドチキンの既存店売上高が23カ月中22カ月プラスの理由
新型コロナウイルスによる休業・営業時間の短縮により、外食産業は大きく影響を受けている。日本フードサービス協会の調べによれば、2020年4月の全店売上高は前年比60.4%(客数59.9%、客単価100.8%)で、調査開始以来最大の下げ幅になった。こうした外食産業にとって厳しい環境のなか、なんとかビジネスの体をなしているのが、従来から、テイクアウト、宅配、ドライブスルーなどの「持ち帰り」需要に対応する基盤を整備していたファーストフード業態だ。なかでも絶好調なのが、日本KFCホールディングス。だが、その快進撃の始まりは、今から約2年前に遡る。
好調なファストフード業態でも目立つKFCの強さ
ファストフードの雄、日本マクドナルドホールディングスのマクドナルド(以下マック)は、3月こそ既存店売上が前年割れ(99.9%)だったが、4月は前年同期比106.5%、5月も115.2%と好調を持続している。モスフードサービスのモスバーガー(以下モス)も、3月100.9%、4月103.7%、5月112.2%と堅調だ。
このハンバーガーチェーン2社の上を行くのが、日本KFCホールディングスのケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)で、3月108.2%、4月は133.1%、5月は137.6%に達した。それ以上に目をひくのが、客数だ。
マックにしても、モスにしても、客数は前年を割り込んでおり、客単価の大幅アップでカバーしての実績だが、KFCについては客数も、3月103.2%、4月107.3%、5月106.5%と、前年同期を上回っている。
同社広報では次のように分析している。
「ひとつには、もともとテイクアウトの比率が7割と大きいこと。そして、もうひとつが、緊急事態宣言を受けて、商業施設内の店舗約100店舗を休業していたが、そこを利用していたお客さんが路面店に足を運んでくれたからではないか」
この分析が正しいかどうかはともかく、このコメントには現在の業績に対する強い自信が現れている。商業施設内には、他のFF店舗もあればフードコートを備えているところもある。そうした選択肢のなかからKFCを選ぶことはあっても、KFC目的だけで商業施設に出かけるというのは少数派だろう。そのうえで、実際に商業施設内の店舗が休業だから他のKFC路面店に出かけていったと考えるのは、かなりハードルが高い。それよりもむしろ、現在のKFCには、それだけ消費者をひきつけるものがあると考えるのが、自然な流れではないか。