無印良品、ロフト、パルコ…セゾンを作った男、堤清二物語
この業界に足を踏み入れて約30年。ありがたいことに、創業者を含め、大抵の重鎮と言われる方々とはお会いさせていただき、お話を伺わせていただいてきた。しかし、残念なことにそれが叶わなかった方が何人かいらっしゃる。
その1人が流通サービス企業集団のセゾングループを築き実業家として名を馳せ、辻井喬のペンネームで詩人・小説家としても活躍した堤清二さんだ。
![堤氏が作り上げたセゾングループの象徴とも言えるのが、西武百貨店池袋本店だ。最盛期は3000億円とも言われる売上を誇った](http://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2019/10/e9038b001cf242d6a65ad57355428bac-e1586950135298.jpg)
総売上額4兆円という一大企業グループを築き上げる
堤さんは、1927年(昭和2年)、西武グループの創始者で衆議院議員だった堤康次郎氏の次男として誕生。東京大学経済学部時代は、日本共産党に入党していた(後、除名)。
![無印良品もロフトも、元はセゾングループだった](http://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2020/04/a1262dcd9063a789c9eaf73288699406.jpg)
1954年、西武百貨店に入社。康次郎氏の死後、異母弟の堤義明氏が西武グループ総帥の座を継いだため、自らは西武百貨店(現:セブン&アイ ホールディングス傘下)を中心に西友(現:ウォルマート傘下)、ファミリーマート(現:伊藤忠商事傘下)、無印良品(良品計画:筆頭株主はJPMORGAN CHASE BANK)、ロフト(現:セブン&アイ ホールディングス傘下)などを次々と設立し多店舗化を進めた。
さらに《生活総合産業》のビジョンを掲げ、小売業から不動産、金融や文化、レジャーにまで事業領域を拡大。パルコ(現:J.フロントリテイリング傘下)、クレディセゾン(筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行)、インター・コンチネンタル・ホテルズなどをグループとして統括、総売上額4兆円という一大企業グループに育て上げた。
一方では作家として執筆活動にも精を出し、1955年に詩集『不確かな朝』で文壇デビュー。小説やノンフィクション分野では『彷徨の季節の中で』、『虹の岬』、『父の肖像』、『叙情と闘争-辻井喬+堤清二回顧録-』、『ポスト消費社会のゆくえ』(上野千鶴子共著)などを上梓。また、堤清二の本名では『消費社会批判』を刊行した。
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