平等で多様性な企業文化の実現には「カルチャー・メーカー」がカギ=アクセンチュア最新レポート
大半の企業では「多様性」「平等」は最優先事項ではない
調査では経営層の大半が「多様性」や「誰もが平等に受け入れられる職場」を企業の最優先項目には据えていないことが浮き彫りになった。実際、経営陣の76%が「業績」、72%が「ブランドおよび品質」を最優先に考えていると回答した一方、「多様性」と「平等」を最優先に挙げた経営層はそれぞれ34%、21%にとどまっている。
また、調査では平等で多様性を受け入れる企業文化に関心を寄せる社員の割合が、世代間で異なることも示しており、ベビーブーマー(団塊の世代)の関心度が64%だったのに対し、Z世代(90年代後半以降に生まれた世代)では75%と、より若い世代の方が高い関心を寄せていることが明らかになった。
本調査は、職場での平等実現に取り組んでいる一部の経営層(カルチャー・メーカー)が重要な役割を果たしていることを指摘。カルチャー・メーカーは、給与の透明性、休暇取得、創造性を発揮できる自由な環境などを整備することが社員の能力を引き出す上で重要であることを理解しているとしている。
カルチャー・メーカーは職場のさまざまな課題について、より率直に意見を述べる傾向が強く、例えば男女平等については52%が「きちんと取り組んでいる」と回答し、経営層全体の35%を上回った。また、セクシャル・ハラスメントや差別への対応についても51%が同様の認識を示しており、これは経営層全体の30%を上回る結果となっている。さらに、カルチャー・メーカーが説明責任を果たし、リーダーシップを発揮している企業では、女性社員の採用関連の目標数値が公式発表ベースで全体平均の2倍近くに達しており、女性の定着が進んでいることが分かった。
調査では、経営層がカルチャー・メーカーになっていくための方策として、リーダーとしての強い信念と覚悟、理解に根ざした言動、そして誰もが活躍できる環境づくりが、非常に有効な支えになると指摘し、そのポイントを挙げている。
・リーダーとしての強い信念と覚悟:経営層は企業文化の重要性を信じ、覚悟を持って最優先で取り組むこと
・理解に根ざした言動:データを超えたコミュニケーションを推進すること
・誰もが活躍できる環境:社員を励まし、次世代のカルチャー・メーカーを育成すること
調査の詳細
【調査方法】
調査はアクセンチュアが毎年発表している「男女ともに活躍する企業への変革」に関する調査の一環として、2019年10月から11月にかけて日本を含む世界28カ国で働く30,000名を超える社員および1,700名超の企業経営層を対象に実施したグローバル調査結果に基づいている。調査においては従業員意識調査や公開されている統計データを組み合わせた手法を採用。また、今回はアクセンチュアが2018年および2019年に実施した過去の調査結果も分析に活用し、経営層と社員の間の認識ギャップを定量化し、ギャップの存在およびその解消が従業員にどのような影響を与えるかを測定した。