めざすはプラットフォーム化!「食とヘルス&ウエルネス」が小売にもたらす事業機会とは
横ばいが続く国内健康食品市場
本連載では約1年にわたって、欧米の小売企業の最新動向を紹介してきた。最終回となる今回は、各社の戦略を解説するうえでしばしば取り上げた、「ヘルス&ウエルネス」が小売業へもたらす事業機会について論じたい。
筆者が所属するローランド・ベルガーには近年、加工食品メーカーなどのクライアントから「自社の機能性食品や健康食品が思った以上に伸びない」といった相談がよく寄せられるようになった。
加工食品メーカーは、従来商品を開発・生産する過程で生じた素材や技術を活用してサプリメントなどを開発してきた。ただ、そうした背景から、商品が特定の栄養素をベースにしたものに限られる場合が多い。したがって、その特定の栄養素のさまざまな効用をことさらにアピールせざるを得ず、それでも販売が思うように伸びないと、「当社にはマーケティング力が足りない」「どのように消費者を啓発したらよいのか」と頭を抱えることになる。
図表❶のグラフは健康食品の利用状況を示したものである。これによれば食の健康の重要性がうたわれる近年の状況にもかかわらず、健康食品はここ10年来ほとんど需要を伸ばしていないことがわかる。
確かにマーケティング戦略は重要であり、それを強化することで販売ボリュームの一定程度の成長は期待できるだろう。しかしそれは短期的かつ限定的な成長にとどまり、その後鳴かず飛ばずとなるケースも少なくない。
誇大広告に消費者は食傷気味
そもそも消費者は