諦めない業界団体、登録販売者「不要論」へ起死回生の一手!?

玉田 慎二(医薬コラムニスト/ジャーナリスト)
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日登協は「組織内独立候補」として国会議員の擁立をめざす

 合併を打診されている全薬協の杉本雄一会長は「公益的な視点から一緒に仕事をするのなら、なんの障害もない」と語ったうえで、「経営者の利益からバイアスがかかる」日登協の現状を指摘。「職能団体としての役割を果たせるなら、全面的にある」といった考えを示す。合併の可能性は低くはないものの、ハードルはそれなりに高い。

 一方、今、日登協が取り組んでいるのが署名集めだ。「登販制度を軽視する制度改正に断固として反対」といった意見に賛同する署名の募集を展開している。すでに会員の2倍以上、10万人分を集めた。現在はさらに上方修正し、30万人の署名を目標に掲げる。最終目標は40万人だ。なぜ40万人か──。「政治の世界では獲得名簿数の3割が実際の票になる」(日登協幹部)ともされ、40万人を集めればその3割、約12万票が弾き出される。12万票あれば、参議院の全国比例区代表に議員を送り込めるという算段だ。

 すなわち、日登協は「組織内独立候補」として国会議員の擁立をめざしている。実はJACDSなどの経営者団体のウイークポイントは「選挙に強くない」という点。票を集められない。多くの社員を抱える企業体ではあるものの、会社のトップが号令を掛けても票には結びつかない。もちろん公職選挙法違反となるので、オモテ向きそんなことはできないのだが、大企業の社員は「社長の言うことなんか聞かない」というのが実情のよう。今回の署名集めは、そんな経営者団体の弱点を克服する側面もある。

 そのうえで、署名集めに関しては、日登協の政治団体である日本医薬品登録販売者連盟(日登連)が担う。ここがキモ。「不要論」の反対意見表明もまた、政治団体である日登連が敢行するといった手筈を整える。厚労省に書かされた誓約書は日登協の会長名。だから“別組織”である日登連が「反対」を表明する作戦だ。今後、全薬協との合併が実現すれば組織力は上がり、政治的圧力も増す。同時に40万人分の署名の「数」も合わせ、厚労省と真っ向対峙するというのが彼らのシナリオ、次の一手だ。(つづく)

●連載「忍び寄る登録販売者『不要論』」
第1回 忍び寄る登録販売者「不要論」 新資格に突き付けられた最大の危機とは
第2回 JACDS代表も反対せず…厚労省検討会で露になった登録販売者「不要論」
第3回 厚労省が誓約書を要請……阻止できなかった登録販売者「不要論」のウラ事情
第4回 「不要論」跋扈の登録販売者、その誕生秘話

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