オムニチャネル化実現のコープさっぽろ 若年層も店・宅配相互利用が増えた理由と手法とは
従来の枠にとらわれない先進的な施策で全国の生協から注目を集める生活協同組合コープさっぽろ(北海道/大見英明理事長:以下、コープさっぽろ)。同生協はスマホアプリを軸とした独自のオムニチャネル化を実現し、全体事業高の押し上げにつなげている。さらに直近では、健康診断やリテールメディアなど次なる成長事業にも乗り出している。
北海道内の妊産婦の生協加入率は約7割に
コープさっぽろの2022年度の全体事業高(営業収益に相当)は3140億円で、対前年度比で1.4%増だった。宅配事業の供給高(商品供給高に相当)は同3.1%増の1119億円、店舗事業の供給高は1912億円と前年度とほぼ同額で、コロナ禍が収束しても宅配を軸に成長を続けている。ただし、経常利益にあたる経常剰余金は光熱費など経費の高騰を受けて44億円となり、同32%の減益だった。
新規組合員の獲得も好調だ。23年内には組合員数は200万人を突破する見込みだ。そうなると、道内の組合世帯比率は80%を超える。近年は年間5万人ほどのペースで増加し、なかでも若年層の加入が進んでいる。若年層が増えている要因の1つには、良品計画(東京都)との協業がある。コープさっぽろの新店と改装店の計4店で共同出店を行っているほか、宅配システム「トドック」でも、食品や日用雑貨など「無印良品」の商品約280品目の取り扱いを開始し好評だ。
子育て世帯への加入促進策の存在もある。10年に「コープ子育て支援基金」を設立して以降、1~2歳児がいる組合員に絵本を贈っている。18年からは、第1子誕生時に乳幼児支援セットの贈呈も開始。これらが奏功し第1子出産を前にした道内の妊産婦の67%が生協に加入するまでになっている。
23年度の業績では、宅配だけでなく店舗事業も上向いている。背景には2つの外的要因と、コープさっぽろが推進してきた出店・商品政策がある。
外的要因の1つめは、
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