増税後に伸びる「内食需要」を取り込むための、イオンの差別化戦略とは?

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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チルド総菜でも新商品続々
要望多い魚メニューも投入

チルド総菜では、肉や魚を使用した主食となる商品を拡充した
チルド総菜では、肉や魚を使用した主食となる商品を拡充した

 また、新商品発表会ではフローズンクッキット以外の簡便の新商品についても発表された。皿に盛り付けるだけ、あるいはレンジで加熱するだけで食べることができるチルド総菜では「豚ロース生姜焼き」(100g、258円)や「牛カルビ焼」(100g、298円)、「国産さば使用 さばの味噌煮」(198円)などを導入。これまでは副菜メニューが多かったが、主食として食べることができる肉や魚を中心としたメニューを9月上旬に発売した。

 そのほか10月中旬には、レンジで7分間加熱することにより食材をスチーム調理する「おさかなレンジ調理セット」を4種類発売する予定だ。イオントップバリュが商品開発の際に参考にしているHUTHome Use Test調査で、「魚メニューを増やしてほしい」という要望が多かったことから、手軽に魚を味わうことができる商品を開発した。

 ※HUT(Home Use Test):一定期間家庭内で商品を使用してもらい、使用感や食後の感想などを客観的・定量的にデータとして収集するマーケティング手法。

プラスアルファの要素で差別化を図る

 共働き世帯、単身世帯の増加によって、総菜や冷凍食品、ミールキットなどの簡便商品の需要はますます高まりつつある。また、10月からの消費増税と軽減税率の導入により、消費者は税率が10%となる外食を控え、軽減税率が適用される中食や内食の需要が高まることが予測される。

 イオンはこうしたライフスタイルの変化や社会動向の変化を注視し、簡便商品の開発に磨きをかけていく。「ただ簡単で便利なだけの商品は、どの企業でも販売している。当社では簡便に加え、シニア対応や糖質オフ、オーガニックなど、プラスアルファの要素を付加することで差別化を図りたい」(和田本部長)。今後イオンはID-POSHUTのデータ分析を基に、付加価値の高い商品の開発を加速させていく考えだ。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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