新業態の「高質食品専門館」が好調、今年度は「第2の創業」=阪食 千野和利 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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人減らさず“売り”伸ばしたい

──事業拡大を視野に、店舗を支える仕組みにも着手しますか。

千野 実はここ数年、今後の事業展開を視野に、物流面を強化してきました。常温帯は菱食(東京都/中野勘治社長)さんに委託しているセンターが兵庫県尼崎市にあります。当社の売上が2000億円規模になっても十分に対応できる能力があります。チルド、冷凍商品向けのセンターは08年11月に稼働したばかりです。また情報システムについても、事業規模に見合った仕組みを再構築していきます。

 センターでは、食品をある程度、加工してキットにする機能も必要ではないかと検討しています。たとえば肉なら、センターで仕込みをして、店頭で仕上げるという流れになると効率も上がります。効率化は、従業員を減らすのが目的ではありません。余分な時間は、店の競争力となる素材を加工する手間暇に使いたいと考えています。

──課題はありますか。

千野 農産、水産、畜産といった素材を加工するバリエーションをいかにノウハウ化するか。また手間をかけて商品化し、着実に利益を確保する仕組みをどのようなかたちでつくり上げるかが大きな課題です。

 ただ先ほど話したように、人を減らすことによるローコストオペレーションは意識していません。やはり商売の原点は売ることにありますし、その部分を拡大していきたい。やはり目の前で売れ、おいしいと言われることが従業員の励み、やりがいにもつながりますからね。

 当面は、なぜ景気が低迷する時代に住吉店、山科店が支持されたのかを冷静に分析するつもりです。品揃え、鮮度、加工のバリエーション、クロスマーチャンダイジングなど、いろんな要素が出てくるはずです。それらのうち何が競争力であるかを見極め、これからの店舗展開に、核の部分だけを取り入れていきたい。「高質食品専門館」として出した4店舗は、これからの事業展開を考えると、ほんのプロローグにすぎません。とはいえ、この業態はまだスタートしたばかりで完成型ではなく、これからも改良、進化させていきます。SMでもデパ地下でもない、面白い業態です。社内的にも、従業員の意識は前向きに変化しつつありますし、クオリティの高い企業、店舗にしていきます。今年度も09年度に続き増収増益をめざしつつ、全社一丸となって新しい時代への対応にチャレンジしていきます。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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