多くのスーパーが悩むコロナ時代の揚げ物 品目、作り方で阪急オアシスが工夫したこと

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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総菜新戦略

揚げ物改革、新商品開発で7月前年実績クリア! 飲食店とも差別化できる総菜を開発へ

近年、出来たて感を訴求する洗練された総菜売場開発で業界から高い評価を得ている阪急オアシス(大阪府/並松誠社長)。しかし、コロナ禍ではバラ売りが中止を余儀なくされ、一気に同社の強みが発揮しづらい状況に陥ることとなった。そこで同社は、商品の売り方や設計を見直すほか、外食との競争も視野に、産地との連携を強めて質を追求した商品開発にも取り組み始めている。

阪急オアシスの温総菜のバラ売りコーナー
コロナ禍において、阪急オアシスは得意の温総菜のバラ売りを見直した。販売を強化する天ぷらは、売れ筋の品目のみを個包装でも用意。それ以外の品目は盛り合わせ商品として提案することで廃棄ロスの低減につなげる

総菜の役割は“家事代行業”

阪急オアシス デリカ・ベーカリー商品部部長の大久保一貴氏と同商品部、温総菜担当バイヤーの伊藤嘉宏氏
左・デリカ・ベーカリー商品部部長の大久保一貴氏右・同商品部、温総菜担当バイヤーの伊藤嘉宏氏

 阪急オアシスの総菜部門は、以前は店舗間競争の激化を理由に前年実績割れが続き、苦戦を強いられていた。しかし約1年半前から「強い単品」を掲げ、既存のメニューをリニューアルするほか新商品も投入し、売場の活性化に取り組んできた。

 この改革が実を結び、昨年8月に久しぶりに前年同月実績をクリア。それ以来、業績を好調に推移させ、2019年12月は同107%、20年1月は同106.7%、同2月には同110.5%と勢いづいたと思われた矢先、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に見舞われた。

 その結果、3月は同101.4%と前年実績をクリアしたものの、4月には同92%とマイナスとなった。外出自粛生活による買い貯め需要や、自宅で料理をする人が増えたことで、生鮮食品や日配、加工食品の各部門は大幅に売上高を伸ばしたものの、多くの食品スーパー(SM)企業と同様に阪急オアシスも、総菜部門はそうした恩恵を受けられなかった。

 その理由を、阪急オアシスデリカ・ベーカリー商品部部長の大久保一貴氏は次のように分析する。「総菜部門の役割は『家事代行業』だと考えている。従来は現代の忙しい人に代わってわれわれが調理するだけで商品に価値が生まれ、支持いただけた。しかし新型コロナウイルスの影響で以前より料理をする時間が生まれたため、総菜が割高に感じられるようになっている」

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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