第56回 顧客がSCに来る本質的な理由と売上至上主義の誤謬
第7派もようやく沈静化し始め街に人が戻ってきた。一部の専門家は年内に第8派が来ると指摘するが、コロナウイルスの弱毒化によって第6派までのようにならないことを願うばかりだが、このウイルスの沈静化と共にリアルな場「商業施設」に再び人は戻ってくるのか、今日はその解決策を提示したい。
ショッピングセンター(SC)の売上動向と誤解
2022年8月、SCの売上は前年比+15.8%と大きく伸びた。しかし、コロナ禍前の2019年と比べると▲16.0%と回復は遅い(日本SC協会調べ)。鉄道会社がコロナ禍明けも▲15%程度を予測していることからこのあたりがしばらく続くだろう。
図表1で示した売上高の推移、SC業界でも重要なKPI(ゴールに向けたプロセスを評価する指標)として語られる。しかし、この売上高は、出店しているテナントの売上高の合計であってSCの売上高では無い(SCは販売などしていない)。一部では、あたかも自らの売上高のように発表するSC企業もあるが、その一方で取扱高、もしくはテナント売上高と発表する企業もあり、今後、不動産賃貸業であるSCは小売業との違いを認識することが必要だろう。
売上高ファーストの誤謬
テナントの売上高をあたかも自らのものと認識しているSCは、売上高をKPIではなくKGI(定量的なビジネスゴール)として目指す。しかし、本来、目指すものは収入(賃料)であり、そこから経費を差し引いた利益であり、非出金項目を除いたNOI(営業純利益)であり、CF(キャッシュフロー)に裏付けされた資産価値の向上である。
売上高はあくまでも
続きを読むには…
この記事は DCSオンライン会員(無料)、DCSオンライン+会員限定です。
会員登録後読むことができます。
DCSオンライン会員、DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。
ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営 の新着記事
-
2024/12/19
第104回 多様性の時代、接客ロープレに求められる意義とは -
2024/12/03
第103回 マーケティング2.0へ!SCは「神社の参道商売」と同じである理由 -
2024/11/18
第102回 SCのマーケティングは「マスマーケティング」である理由 -
2024/10/31
第101回 今年の新入社員の30年後は「全員管理職」?人口減時代のビジネスとは -
2024/10/17
第100回 30年後、社会と商業はどうなっているのか? -
2024/09/27
第99回 「顧客を把握できる」ECに対し、リアル小売が取るべき3つの戦略とは
この連載の一覧はこちら [104記事]
関連記事ランキング
- 2024-12-12「オーケー」後の関西 イオンリテールがねらう都市型SCそよらで脱同質化
- 2024-03-08ストア・オブ・ザ・イヤー2024を発表!今、行くべき店はこの店だ!全42店舗掲載
- 2024-11-18第102回 SCのマーケティングは「マスマーケティング」である理由
- 2024-12-03第103回 マーケティング2.0へ!SCは「神社の参道商売」と同じである理由
- 2020-12-11「イオンモール利府」が全館リニューアルで来夏開業、春には新館オープン
- 2021-03-10ヴィトンにグッチ、渋谷カルチャー、横丁空間にシェアオフィス・・・ 多彩な渋谷らしさをすべて包含したミヤシタパーク
- 2022-11-21第58回 自らが決めた「定義」に縛られた百貨店とSCが生き残る方法
- 2020-07-01アフターコロナ時代のBCPその3 「店舗に依存しない販売」や店頭受け渡しを進めなければならない理由
- 2024-06-16コロナ後も堅調! ミールキットのパイオニア、ヨシケイの現在地
- 2019-08-21玉川高島屋S・C、開業50周年に合わせて改装、食料品フロア全体をリニューアル