経営戦略にサステナブルを組み込み、持続可能な小売業に変革する方法
生産者やZ世代も!仲間を増やし輪を広げる
外部機関や消費者も巻き込むことで、サステナビリティを進めようとしているのが生活協同組合だ。日本生活協同組合連合会(東京都)は「生協の環境・サステナビリティ政策に関する第三者評価委員会」を設置。委員には研究者やコンサルタントといった有識者のほか、Z世代に当たる大学生も名を連ね、さまざまな外部人材から助言やサポートを得る体制を整備している。このように、外にも開かれた活動にすることは、多様な意見を聞くことで課題解決のヒントが得られるほか、ともに活動を推進する仲間の輪を広げることにもつながりそうだ。
これらを見ると、サステナビリティ活動は大掛かりで、中小企業にはリソースを割くのが難しいと感じるかもしれない。しかし、決してそうではなく独自の工夫とアイデアがあれば経営にサステナビリティを取り入れることができる。徳島県に本拠を置くローカルSMのキョーエイは、地場商品を集約した「すきとく市」の開催や、店頭で資源ごみを収集する「はっぴいエコプラザ」を実施。地域の生産者やNPO法人と連携し、ローカルSMの強みで「地域密着」を生かすことで、地域でも存在感を発揮する活動に発展させている。
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このように食品小売業にとってサステナビリティ活動は、コスト削減、付加価値の提案、地域や消費者、ステークホルダーとの結びつき強化など、社会貢献の枠に収まらない、今後の成長に欠かせない施策であることがわかる。
このように経営戦略としてサステナビリティを実行するには、もはや部署単位ではなく会社全体で、従業員を巻き込んで進める必要がある。アクシアル リテイリング(新潟県)やサミットのようにいち早くサステナビリティを推進できている企業は、従業員同士での話し合う文化や、改善を行う組織文化がすでに存在し、それが土台となりサステナビリティ活動が継続・活発化している。つまりサステナビリティの推進には、自社の組織力が問われ、これを強める活動であるともいえそうだ。こうした点も含めて、サステナビリティに取り組む企業・取り組まない企業では今後、大きな差が生まれることになりそうだ。
今こそ、食品小売各社はサステナビリティを通じて業績、さらには組織としても成長を実現する「サステナブル・リテイリング」をめざしたい。本特集が一歩を踏み出す契機となれば幸いだ。
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