経営戦略にサステナブルを組み込み、持続可能な小売業に変革する方法
ユニークさを発揮して1つの差別化要素に
このように、サステナビリティを重要な競争戦略としてとらえる企業が増えてきた。では小売各社はどのような活動を実践していけばよいのだろうか。
コンビニエンスストア大手のファミリーマート(東京都)が重視しているのは「独自性」だ。他社とは異なるユニークさを発揮することが差別化となり、今後、消費者に選ばれる重要な「付加価値」になると考えている。
そうした方針のもとファミリーマートは、同社の3つの基本理念「家族のように」「地域に寄り添う」「お客さま一人ひとりに」に沿った施策を実践。有志の加盟店とともに近隣の子育て世帯向けに「ファミマこども食堂」を開催したり(現在はコロナで中止中)、看板商品の「ファミチキ」のパッケージにLGBTQ(性的少数者)理解を意味するレインボーカラーを採用したりといった施策を打っている。なお、後者のような「多様性尊重」を訴求する施策は、全国に店舗を持ち、多くの人手を確保する必要がある同社のような企業にとって、「働きたい」と思ってもらえる組織となるためにも有効的といえそうだ。
サステナビリティの取り組みは自社の活動だけで完結するものではなく、サプライチェーン全体に目を向けることも重要だ。
本特集に登場する食品容器メーカー最大手のエフピコ(広島県)や、食品卸大手の日本アクセス(東京都)のように、小売業の取引先であるメーカーや卸も同様にサステナビリティに取り組んでいる。同社らは小売業との連携を積極的に推進しており、たとえば日本アクセスは「物流の2024年問題」で宅配ドライバーの人手不足がさらに深刻化するのを見据え、メーカーや小売、物流パートナーと協業して物流改善に乗り出し、成果をあげている。サプライチェーン上のプレイヤー間で互いに手を組めば、より大きなインパクトを持って改革・改善が図れることから、今後さらにこうした連携が進むことが期待される。
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