流通専門誌が解説する! 2021年総合スーパー売上ランキング

2022/04/09 05:55
    兵藤 雄之
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    2021年決算で、11年3月にマイカル合併後、初めて営業収益2兆円を割り込んだイオンリテール(千葉県)。「月を追うごとに業績は改善している」という22年決算も、第3四半期累計の営業収益は対前期比8.8%減の1兆3439億円。営業赤字は減少傾向にあるとはいえ、赤字状態から抜け出せていない。もうじき出揃う総合スーパー(GMS)の22年決算はどうなるか。その前に21年決算ランキングを振り返ってみたい。

    収益改善進むユニー、苦戦続くイオンリテとIY

     コロナ禍を背景に苦戦が続くGMS各社。イトーヨーカ堂もイオンリテールと同様に、22年第3四半期決算では、既存店売上高は対前年同期比2.2%増ながら、第3四半期累計の営業収益は同0.9%減の7850億円だった。通期では営業利益50億円を見込んでいるが、第3四半期時点では24億円の営業赤字となっている。

     対象的にパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都:PPIH)傘下のユニー(愛知県)は、「アピタ」および「ピアゴ」の改装、不採算店の「ドン・キホーテUNY」への業態転換(別会社UDリテールで運営)などにより、収益改善を進めてきている。21年6月期の売上高は同5.6%減の4926億円だったが、営業利益は289億円(2.9%増)。ドンキ流の改革により、営業利益を出せる体質になってきた。22年6月期第2四半期の売上高は同4.8%減の2441億円だが、コロナ前の水準をクリアした着地となっている。営業利益も120億円を稼いでいる。

     ちなみに「ドン・キホーテUNY」57店舗(22年6月期第2四半期末)を展開するUDリテール(神奈川県)の同期間の売上高は同18.6%増の1052億円、営業利益も17億円と好調だ。21年6月期は売上高1844億円(68.9%増)、営業利益13億円だった。

     そのほかイオン系GMSでは、20年3月にマックスバリュ北海道と合併したイオン北海道(北海道)が第3四半期時点で売上高1.2%増の2507億円、20年9月にマックスバリュ九州、イオンストア九州と合併したイオン九州(福岡県)は、22年決算で合併効果が初めて通期で反映されるため、第3四半期の売上高は59.6%増の3564億円となっている。

     22年4月に、約4年半ぶりに「ダイエー」ブランドで出店(ダイエー豊洲店)するダイエー(東京都)は、22年第3四半期の売上高は2239億円(3.4%減)だった。22年3月フジ・リテイリング(旧フジ)、マックスバリュ西日本を傘下にもつ持ち株会社となったフジ(愛媛県)は、第2四半期の売上高は4.5%増の1520億円(旧フジの実績)だった。

    ネットスーパーへの投資が過熱

     いまGMS大手が積極投資を進めているのが、ネットスーパーだ。食品スーパー各社が本腰を入れて取り組み始めたネットスーパーが「店舗出荷型」なのに対し、GMSが動いているのは「センター型」だ。先行する西友の楽天西友ネットスーパーは、千葉県松戸市の大型物流センターに加え、21年1月に神奈川県、22年2月に大阪府に開設。23年上期に千葉県松戸に大規模物流拠点を計画している。

     イトーヨーカ堂は、23年春の稼働をめざし、「イトーヨーカドーネットスーパー新横浜センター」を建設中。英ネットスーパー専業のオカド(Ocado)と提携するイオンは、23年度から誉田CFC(千葉県)を稼働させ、次世代ネットスーパーを本格スタートする。

     こうしたネットスーパーの積極投資は業績にどう影響するか。間もなく、22年決算が発表になる。各社の決算発表を待つ前に、21年決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

    コロナ直撃で大荒れの2021年決算

     売上1位、イオンリテールの21年2月期の売上高は対前期比10.3%減の1兆9672億円だった。ニューノーマルの生活様式に対応すべく、ネットスーパーの強化や、来店客自身が専用端末を使って商品をスキャンする「レジゴー」の導入などを進めた同社だが、コロナ禍の影響をカバーするには至らず、最終損益では511億円の巨額赤字を計上した。2位のイトーヨーカ堂(東京都)も大打撃を受け、2021年2月期の売上高は同8.8%減の1兆809億円だった。「アリオ」を中心としたショッピングセンターのテナント休業などの影響も大きかった。

     3位はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都:以下、PPIH)傘下のユニー(愛知県)。4位のイズミ(広島県)は上位2社並みの減収(同9.4%減)だった。5位平和堂(滋賀県)はオーガニックで増収(同4.0%増)達成した。6位以下9位まではイオン系が占める。6位イオン九州(福岡県)、7位イオン北海道(北海道)は、イオングループ内の再編に伴い大幅な増収・増益となった。

     売上を大きく伸ばしたのがPPIH傘下のUDリテール(神奈川県)で、前年15位から13位に順位を上げた。12位のイズミヤは、20年4月付で食品を販売する新・イズミヤほか3社に分社化されており、現在は、関西フードマーケット(旧関西スーパーマーケット)傘下の食品スーパーとして営業を行っている。

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