#19 リアル店舗がECやSNS上の「デジタルシェルフ」を無視できない理由
「チャネルの全張り」に対応可能な組織構築も必要
経済産業省によると、日本のEC化率は8%程度と、まだまだリアル店舗の売上が高い状況です。これに対して米国では、第1回でも解説しているように、2018年時点で商品購入の意思決定にデジタルを活用する割合は50%を超えており、デジタルへの対応が遅れた小売店舗が続々と閉鎖に追い込まれています。
商品購入決定の入口であるデジタルに対応し、出口として店舗での購入に誘導するためには、すべてのチャネルに全張りできる組織を用意することが必要になっています。
デジタルシェルフの特性上、さまざまなプラットフォームをクロス的に見ることができるため、どうしても事業者側はどこにお客が来るかを掴むことができません。昔の「AIDMA」(消費者の購買行動プロセスを解説するモデル。Attention, Interest, Desire, Memory, Actionの頭文字)のように、アテンションがあってファネル構造で売れていくことはデジタル上では基本的にないのです。
どこでどのようにお客が見に来るかわからないため、基本的な戦略は「チャネルの全張り」です。それも最低限以上の品質がないと見向きもされないため、商品だけでなくそれぞれのチャネルで提供する情報もある程度以上の品質であることがマストです。
プロフィール
望月智之(もちづき・ともゆき)
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。
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