レシートは語る第6回 「オーケー」の強さの実態 購入データから見えた周到な戦略

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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進む名物商品の育成と
水産商品の冷凍化

 次に、購入レシートにおけるカテゴリー出現率を分析した。


 図表2は、各チェーンの購入レシート枚数に対するカテゴリー出現率を表したものだ。「オーケー」は、「パン・シリアル類(27.4%)」「水物※豆腐や納豆などの大豆加工食品(21.9%)」、「乳飲料(21.9%)」、「ヨーグルト(16.0%)」といった購入頻度が高い日配品のレシート出現率が高い。また、「畜産(26.8%)」もよく買われている。

 先ほど、ライフやヤオコーと比較して「おいしさ」の点では支持が高くなかった「総菜類」だが、レシート出現率は29.3%と低くない。モニターからは「お弁当が安くて助かる」や「手作りピザがワンコインで買える」といったコメントが挙がっている。

 レシートデータから購入商品をみると、「8品目のキャベツとレタスのサラダ(平均単価106円)」「おにぎり(平均単価57円)」「ロースかつ重(平均単価273円)」など、驚くほど低価格な特定商品の名前が多く挙がっており、目的買いされる商品が育成できていることがわかる。

 近年オーケーが売場を広げている「冷凍食品」も、出現率は17.7%とやはり高い。出現率の高い商品を順にあげると、「日清フーズ ママー(4.8%)」「ニチレイ ブロッコリー(3.7%)」「イートアンド 大阪王将(3.6%)」とナショナルブランドが占める。

 一方で、「シーフードミックス」や「冷凍塩サバフィレー」といった冷凍水産加工品も一定のシェアがあり、業界全体で魚離れが叫ばれるなか、冷凍加工品で水産の売上を獲得できると言える。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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