[東京 31日 ロイター] – 総務省が31日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は2.8%となり、前月から0.1ポイント改善した。就業者は増加しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響は残っており、業種によって濃淡もみられる。厚生労働省が同日発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍で、前月から0.02ポイント上昇した。
ロイターがまとめた事前予測調査では完全失業率の2.9%が予想されていた。総務省の担当者は失業率は低下傾向にあるが、コロナの感染者数が増加しており、これが続くのか今後も注視が必要だとしている。
男性の失業率は3.1%と前月と同率。女性は2.4%と前月から0.3ポイント低下した。
就業者数(実数)は6711万人で、前年同月に比べて56万人増加した。4カ月連続の増加。産業別では「卸売業、小売業」が前年同月に比べ63万人増えた。ここにはコンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなどが含まれており、コロナの影響によって家で食事することが増えたことなどが反映されたとみられている。このほか「学術研究、専門・技術サービス業」が23万人増加した。
一方、「教育、学習支援業」は前年同月比19万人減少。「宿泊業、飲食サービス業」は2カ月連続で増加したものの、状況は引き続き厳しい。
完全失業者数(実数)は191万人で、前年同月に比べて6万人減少。18カ月ぶりに減少した。求職理由別では「勤め先や事業の都合による離職」が1万人増加。「自発的な離職(自己都合)」は3万人の減少、「新たに求職」が1万人の減少となった。
有効求人倍率、1年2カ月ぶり高水準
厚労省が発表した7月の有効求人倍率(季節調整値)は1.15倍。昨年5月以来、1年2カ月ぶりの高い水準となった。ただ、新型コロナウイルス感染症の流行前が1.5─1.6倍台で推移していたことを踏まえると戻りは鈍い。
有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。求人、求職はともに3カ月間有効で、今回は21年5、6、7月の動きが反映されたものとなる。
有効求人数(季節調整値)が前月から1.5%ポイント増加した一方、有効求職者数(同)は0.5%ポイント減少した。求職者数の減少については、ワクチン接種後に職を探そうという人や、デルタ株への感染を警戒して求職活動を控える人が一定数いたとみられている。