需要不足で物価下押し圧力継続へ、需要水準押し上げが重要=内閣府分析
[東京 31日 ロイター] – 内閣府は31日、日本経済の見通しや課題についてまとめた報告書「日本経済2020―2021」を公表した。20年後半以降の日本経済の動向を分析したもので、需要不足から物価への下押し圧力が続く見込みで、感染防止を図りながら需要水準を押し上げることが重要との見解を示した。
この報告書はいわゆる「経済白書」に続く現状の経済動向を分析したもの。
昨年後半以降、内需面では個人消費中心の持ち直しが、外需面では海外での経済活動再開で財輸出の持ち直しが続いたとした。今年1月に再発出された緊急事態宣言については、昨年4―5月のように全国で経済活動を幅広く人為的に止めたわけではないため、経済的な影響も抑制されたと見込まれるものの、消費は弱い動きとなっているとの見方を示した。
また、雇用・賃金の動向は、政策支援の効果で雇用者数などに持ち直しの動きもあり、ある程度の底堅さがみられる一方、企業の予想物価は下振れし、GDPギャップは依然として大きなマイナスとなっていると指摘。デフレリスクは残っているとして、需要水準を押し上げることが重要だとした。
新型コロナウイルス感染症の影響下での対外収支と海外投資の動向や為替レートの変動要因についても分析し、対外直接投資や証券投資は、感染症の影響が比較的大きい欧米向けを中心に下押しされたと指摘した。為替レートは、近年では金融政策のレジーム変化もあり、金利よりも通貨供給量に影響されていたとしている。
為替レート変動に関する企業の輸出行動の分析では、リーマン・ショック以前とは異なり、為替変動に対して輸出数量よりも輸出価格を変動させるといった変化が引き続きみられると指摘。また、想定為替レートの変更が企業収益に与える影響に低下がみられることもあり、経済全体への為替変動の影響は緩和されている可能性が示唆されるとの見方を示した。