コロナ終息後は観光需要に照準、LCCと地方強化=JAL社長
[東京 7日 ロイター] – 日本航空(JAL)の赤坂祐二社長は7日の会見で、新型コロナウイルス終息後も国際線でビジネス需要の回復は鈍いなどとみて、観光需要をターゲットにする方針を示した。観光需要開拓に向け、「地域事業本部」を新設し、客室乗務員を各地方へ派遣して地域活性化などの業務に従事させるほか、グループの格安航空会社(LCC)でネットワークの強化も図る。
政府の観光需要刺激策「GoToトラベルキャンペーン」では10月から東京発着の旅行も対象となり、JALの同月の国内線旅客数は対前年で50%程度まで回復しているという。一方、各国の出入国制限により、国際線は依然として計画に対し約9割の減便が続いている。
赤坂社長は、旅客需要がコロナ前と同水準に戻る時期について「国内線は2022年、国際線は24年くらいか、もうちょっと遅れるかもしれない」と指摘。ただし国際線は今後、特にビジネス需要は減る可能性が高く、旅客需要は「元には戻らない」とみている。一方、テレワークやバカンス先で仕事をする「ワーケーション」など新しい働き方が増え、「新しい需要が生まれる」と述べた。
新たな需要取り込みに向け、完全子会社のジップ・エア、5%出資する春秋航空日本(中国)などグループのLCCとのネットワークを強化する意向。強化方法に関して赤坂社長は「必ずしも出資比率引き上げありきではない」といい、例えば、50%出資のジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)との連携では、同社に33.3%出資する豪カンタスグループとの関係をより強化していくと語った。
非航空事業の売上比率3割へ
赤坂社長はまた、航空事業への依存を減らすため、非航空事業の売上比率を現状の約2割から今後3割に引き上げる考えも示した。非航空事業の一環として「地域事業本部」を11月1日付で設置し、今後4―5年で売り上げ1000億円規模を狙う。
減便でフライト業務が減っている客室乗務員約1000人を地方に配置し、地方の需要開拓を企画する業務などを兼務する。赤坂社長は「優秀な客室乗務員の新たなキャリアパスとしても活躍の場をつくる必要があるとずっと考え、検討してきた」と語った。同本部はコロナ終息後も続ける。
同本部は航空事業との相乗効果が見込める観光など6分野に取り組む。物流分野では次世代エアモビリティーの運航管理を事業化し、モノを運ぶドローン輸送は23年ごろ、人が乗る「空飛ぶ車」は25年ごろの実現を目指す。