航空各社、需要回復にらみ機内消毒など強化 乗客の不安軽減狙う

ロイター
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機内消毒を行う日本航空の担当者
5月27日、社会・経済活動再開による旅客需要回復に備え、航空各社は新型コロナウイルス感染防止策を強化している。写真は機内消毒を行う日本航空の担当者、羽田空港で26日撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 27日 ロイター] – 社会・経済活動再開による旅客需要回復に備え、航空各社は新型コロナウイルス感染防止策を強化している。日本航空や全日本空輸などを持つANAホールディングスは機内消毒を徹底。乗客にマスク着用も求め、ANAでは着けない乗客の搭乗を断る場合もある。密になりがちな機内における乗客の不安を和らげ、需要取り戻しを図る。

機内消毒について、JALは26日、毎夜実施している国内線の作業の様子を公開。同社は国際線でも主に夜間に行っている。ANAでも国内線は毎夜、国際線はこれまで日本の空港に戻ったタイミングで機内消毒していたが、海外の空港でも毎便で順次実施する。両社とも乗客がよく触れるモニターやテーブル、肘掛けなどを中心に新型コロナに有効なアルコール濃度70%以上の消毒液で消毒する。JALの清掃担当者は、トイレ内の消毒には特に力を入れており、「これでもかというくらい徹底して消毒している」と語った。

乗客同士で一定の距離を保つため、JALやスカイマークでは中間席の販売も当面停止している。国際航空運送協会(IATA)は、機内の空調が病院の手術室でも使われる高性能フィルターで空気を清浄しており、その他の密閉空間に比べ感染リスクは低いとして、乗客や乗務員がマスクを着用すれば中間席の使用を認めている。

一方、客室乗務員の不安は拭えていない。例えば、乗客のマスク着用では、ANAは未着用の乗客を搭乗させないなど踏み込んだ対応を取るが、JALやスカイマークでは業界団体の指針に基づく「協力要請」にとどまるなど、各社でばらつきがある。乗務員の服装も、エミレーツ航空やエアアジアなど一部の海外航空会社では使い捨て防護服も着用させており、マスクや手袋だけの国内各社と差がある。

こうした声を受け、航空労組連絡会(航空連)は18日、感染防止対策に統一基準を設けて各社に指導するよう国に要請。航空連では「第二波がきて機内で集団感染が起きる恐れもある」として乗務員の防護服着用の義務化などルール化を国に求めている。

航空連の要請に対し、赤羽一嘉国土交通相は26日の会見で、専門家の協力を得て業界団体が作成した指針を各社が順守すれば乗務員の感染防止にもつながるとの認識を示し、「現時点で何らかの法的なものを講じることは考えていない」と述べた。航空連は「今後、対策を練る」としている。

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