厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比2.5%減少した。物価の上昇に賃金が追い付いていないため。減少は24カ月連続で、比較可能な1991年以降で過去最長となった。
基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均で0.6%増の30万1193円だった。このうち基本給が中心の「所定内給与」は1.7%増で、残業代などの「所定外給与」は1.5%減だった。
実質賃金の算出に使う消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は3.1%と前月から小幅に縮小した。
就業形態別の名目賃金は、正社員ら一般労働者が0.8%増の38万6795円。パートタイム労働者は2.5%増の10万8036円だった。
1人平均の総実労働時間は2.7%減の136.2時間だった。このうち所定内労働時間は2.6%、所定外は3.7%、それぞれ減少した。
実質賃金のプラス転換に向け、高水準の回答が相次いだ今春闘の結果は夏ごろから順次反映される見込みだが、歴史的円安で食品やガソリン価格の上昇圧力も強い。厚労省は「物価の動きは外部要因で変動するので見通しづらい。基本給が上昇していくか注視していきたい」と話している。