厚生労働省が7日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月比1.2%減となった。マイナスは14カ月連続だが、下げ幅は前月の3.2%減から大きく縮小した。高水準の回答が相次いだ2023年春闘の結果が本格的に反映され始めたとみられる。
基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均で2.5%増の28万3868円だった。このうち基本給が中心の「所定内給与」が1.8%増、残業代を含む「所定外給与」は0.4%増。賞与など「特別に支払われた給与」は22.2%と大幅に増えた。
一方、実質賃金の算出に用いる5月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.8%上昇した。物価高騰が賃金の伸びを上回る状況は続いている。
就業形態別に名目賃金を見ると、正社員ら一般労働者が3.0%増の36万8417円。パートタイム労働者は3.6%増の10万2303円だった。 1人平均の総実労働時間は、1.9%増の133.5時間。所定内労働時間が2.0%増え、所定外は前年同月と同水準だった。