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昨年の実質賃金、0.9%減=物価高で2年ぶりマイナス

厚生労働省
〔写真説明〕厚生労働省=東京都千代田区(時事通信社)

 厚生労働省が7日発表した2022年の毎月勤労統計調査(速報値)によると、基本給と残業代などを合わせた現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年比0.9%減となった。物価上昇に賃金の伸びが追い付かず、2年ぶりに前年を下回った。

 名目賃金は月平均で32万6157円。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の回復を背景に2.1%増え、伸び率は1991年(4.4%)以来の大きさとなった。このうち、基本給中心の「所定内給与」は1.2%、残業代を含む「所定外給与」は5.0%、賞与など「特別に支払われた給与」は5.1%、それぞれ増えた。

 一方、実質賃金の算出に用いる同年の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は3.0%上がった。食料品や電気・ガス代の上昇が響いた。

 就業形態別の名目賃金は、正社員ら一般労働者が2.3%増の42万9449円。パートタイム労働者は2.6%増の10万2073円だった。

 同時に発表された22年12月の実質賃金は、前年同月比で0.1%増えた。プラスは22年3月以来、9カ月ぶり。消費者物価指数の伸び率は4.8%と引き続き高水準だったが、名目賃金も4.8%上昇した。厚労省の担当者は「賞与の支給が堅調だった」と分析した。