厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給と残業代などを合わせた現金給与総額(名目賃金)から物価変動の影響を除いた実質賃金は、前年同月比0.2%減となった。名目賃金の伸びが物価の上昇に追い付かず、3カ月ぶりに低下した。
原油や原材料の高騰が影響し、実質賃金の算出に用いる3月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は1.5%上昇と、2018年10月以来3年5カ月ぶりの高い伸びを示した。
3月の現金給与総額は、労働者1人当たりの平均で1.2%増の28万6567円と、3カ月連続で上昇した。内訳は、基本給が中心の「所定内給与」が0.5%増、残業代を含む「所定外給与」が2.5%増。賞与など「特別に支払われた給与」も10.7%増えた。
就業形態別の総額は、正社員ら一般労働者が1.5%増の37万2765円の一方、パートタイム労働者は0.2%減の9万7309円だった。
総実労働時間は、1.6%減の136.0時間。所定内労働時間は2.0%減ったが、所定外が2.8%増えた。新型コロナウイルスに感染して休む人や濃厚接触者として出勤を見合わせる人が増え、働ける人が減った可能性がある。