[東京 12日 ロイター] – ヤフーの川辺健太郎社長は12日、ZOZOとの資本業務提携を受けた会見で、提携を通じて2020年代前半の国内電子商取引市場の物販分野で1位に手が届きつつあるとの認識を示した。
川辺社長は、同社のヤフートラベルと、2015年に子会社化した宿泊予約サイトの一休を合わせた取扱高が2018年には1.9倍になったと説明。「このノウハウを資本業務提携に注入していきたい」とした。
ヤフーの取扱高は1兆円前後で停滞していたが、13年から電子商取引を強化する「eコマース革命」に乗り出してから拡大し、18年には1.87兆円に増加した。一方、ZOZOの取扱高は18年に3231億円で、足元でも「合算で2兆円を超える。(提携による)相乗効果で取扱高が爆増していく」と述べた。
ヤフーは広告事業に電子商取引事業を加えて経営の2本柱にする考え。18年度は電子商取引事業の営業利益が558億円で、ZOZOと単純合算すると19年度予想は約1020億円となり、1.8倍の規模だと強調した。
ZOZOは、ヤフーのほか、携帯電話のソフトバンクや決済サービスのPayPayのユーザーを誘引することで購入者数の増加が見込めるという。
同日退任したZOZOの前沢友作前社長は、ヤフーとの資本業務提携について「弱点を補い合い、強いところを伸ばし合える提携」と述べた。ヤフーの川辺社長によると、ヤフーには月間ログインユーザーIDが約4900万ID、ZOZOには年間購入者が約800万人いるが、男女比はヤフーが男性60%に対し、ZOZOは女性が70%、年齢層はヤフーが30―40代、ZOZOが20―30代となっている。
ZOZOの新社長となった沢田宏太郎氏は、ZOZOの経営規模とともに社会的な影響力が大きくなってきたとし、「革新はもちろんだが、安定感が重要になってきている。安定成長のパートナーとして、ヤフーがベストと判断した」と述べた。
前沢氏は、沢田社長について「ロジカルな経営手法を得意としている」と指摘。今のZOZOは「ファッション好きだけでなく、あらゆる人にサービスを届けないといけない」とし、これまでのトップダウンから、チームワークや総合力が問われる局面でもあり、沢田氏が「適任」とした。退任を決めたのは、こうした環境の変化に加え、自身が予定する月への渡航に向けたトレーニングや外国語の習得などに時間を割きたいとの考えからだという。
会見にはソフトバンクグループの孫正義社長も出席し、交流のあった前沢前社長と対話をした際に「ヤフーとZOZOが力を合わせて、第2の飛躍をしていきたいとなった」と説明。従来から提携関係のあったヤフーとZOZOが関係を深めるにあたって、後押しとなったエピソードを明かした。