トヨタといすゞが再び資本提携、日野含め商用車EV化などで協業
[東京 24日 ロイター] – トヨタ自動車といすゞ自動車は24日、資本提携することで合意したと発表した。2018年に解消した資本業務提携を、再び結ぶ。トヨタグループの日野自動車を含め小型トラックの分野で協業し、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、自動運転技術、電子プラットフォームの共同開発に取り組む。
ユーザー目線で再提携、相互に約400億円を出資
トヨタといすゞは06年に小型ディーゼルエンジンの共同開発などで資本業務提携したが、18年に解消していた。
再び提携することについてトヨタの豊田章男社長は共同会見で、脱炭素などの流れを受け企業側でなくユーザーの目線がより重要になってきたとし、前回の提携解消後に「もっといいクルマ、モビリティーづくりで対話が進み出した」と説明した。
いすゞの片山正則社長によると、前回の提携解消はお互いが納得した上でのことで、「また機会があればトヨタと何かをやりたいと感じていた」という。日野の下義生社長とも対話の機会はあったものの競合関係にあるため様子見していたが、「トヨタが大きな接着効果というか、バックアップしてもらってることが提携に至った大きな要素」(いすゞの片山社長)と述べた。
トヨタはいすゞが実施する総額428億円の第三者割り当てによる自己株処分により、所有割合で4.60%、議決権割合で5.02%の株式を取得する。いすゞは同額規模のトヨタ株を市場で買い付ける。
いすゞは発行済み総数の8.37%に当たる自己株式7098万0600株を消却することも発表した。3月31日に消却する。
トヨタが80%、いすゞと日野が10%ずつ出資し、商用車のCASE技術やサービス協業の企画にあたる新会社も設立する。
小型トラックで共同開発、CASEで連携
片山社長は、商用車を手掛ける日野と小型商用車への活用可能性のある技術を持つトヨタとの3社が連携すれば「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の荒波を乗り越えるイノベーションを起こせる」と強調した。日野の下社長は、CASEや脱炭素化の流れのほか、物流業界には人手不足といった課題があるとし「個社を超えて協調する領域が大変多い」と語った。
注力する分野は中小型トラックとバン・ピックアップで、小型トラックのEV化やFCV化に共同で取り組み、車両コストを下げる。福島県で社会実装も進める。効率的な配送を行うため3社のプラットフォームをつなぎ「商用版コネクテッド基盤」も構築する。いすゞと日野を合わせると国内商用車の顧客8割をカバーすることになり、「顧客目線では、いすゞと日野が組むことが様々な物流改革を進める上でものすごく支えになる」(片山社長)としている。他社の参画にもオープンだという。
新会社「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」の中嶋裕樹社長は「商用車のデータにトヨタの乗用車データも含めたビッグデータをベースに、課題を解決したい」と語った。
豊田社長は、国内では商用車の保有台数は約2割だが、走行距離では4割、二酸化炭素(CO2)排出量は約半分だと説明。物流業界の課題も含め「3社中心で作る新会社が改善できれば嬉しい」と述べた。