完全失業率、10月は3.1%に悪化 コロナ影響で離職者が増加
[東京 1日 ロイター] – 総務省が1日発表した10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%となり、前月に比べて0.1ポイント上昇した。ロイターの事前予測調査と一致。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響が長引く中、自発的、非自発的に限らず離職者数が増えている。
男女別では男性が3.4%と前月に比べて0.2ポイント上昇。女性は2.7%と、前月と同じだった。年齢別完では15━24歳が5.0%と最も高く、65歳以上が2.1%と最も低かった。
10月の完全失業者数(実数値)は215万人で、前年同月から51万人増加した。これで9カ月連続増となった。求職理由別に前年同月と比べると「勤め先や事業の都合による離職」が22万人、「自発的な離職(自己都合)」が11万人それぞれ増加した。希望退職への応募やコロナ禍における待遇への不満などが離職者増加に影響した可能性があるという。
就業者数(実数値)は6694万人で、前年同月から93万人の減少。7カ月連続減となった。業種別では、宿泊・飲食サービス業が同43万人、農業・林業が同12万人、サービス業が同10万人、それぞれ減った。宿泊・飲食サービス業は前年の同時期に高水準だった反動もあり、実数は底打ちして「この数カ月では増加してきている」(総務省の担当者)という。
有効求人倍率は1年6カ月ぶり上昇
一方、厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.04倍で、前月から0.01ポイント上昇した。ロイターの事前予測は1.03倍を見込んでいた。19年4月以来、1年6カ月ぶりの上昇となったが、足元で新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、来月以降も上昇が続くかは不透明。
10月は企業側の求人状況を示す月間有効求人数(季節調整値)前月に比べて2.2%ポイント増加した。産業別では、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業などが引き続き低迷しているものの、建設業などで採用活動を再開する動きもみられる。
一方、月間有効求職者数(同)は1.1%ポイント増加。企業は求人を出すものの、経済の先行きに不透明感がある中で実際の採用には慎重な姿勢がみえるという。求職側も希望する求人が見当たらず、就職活動が長期化していることがうかがえる。