有事に活躍するホームセンター 台風15号、19号にカインズはどう対応したか?

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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2019年9月に発生した台風15号は千葉県を中心に強風による被害をもたらした。さらに翌月、台風19号は豪雨を伴い、中部~東北地方まで広範囲にわたり爪痕を残した。異常気象、自然災害の発生が“当たり前”になりつつある今、「社会のインフラ」として役割を果たすホームセンター(HC)各社はどのように対策しているのだろうか。

カインズ大平店
カインズは台風15号、19号で一部の店舗が被災した。写真は台風19号で被災した「カインズ大平店」(栃木市)で、2019年12月18日に営業を再開した

東日本大震災以降
災害対策をアップデート

 カインズ(埼玉県/高家正行社長)の防災対策は、20113月の東日本大震災の反省が土台となっているという。震災後に整備を行った災害マニュアルを段階的にアップデートし、対応準備を行っている。

 対応をスムーズに進めるためのコンセプトとして、店舗と本部の連携に力点を置く。店舗には裁量権を持たせることで、お客、従業員の安全を最優先に考え、本部からの指示を待つのではなく、営業を続けるか閉店するかという判断ができるようにしている。一方、本部サイドは店舗からの報告を待つのではなく、積極的に店舗側の情報を取りにいくことで、いち早く現状を把握し、対策を講じることができる体制を整える。

 被害がある程度大きいと予想されると、「緊急対策本部」が立ち上がる。販売本部が情報対策事務局となり店舗の情報を一元管理すると同時に、人的対応(従業員安否確認や人的応援対応など)・お客様対応・商品や緊急物資手配対応・店舗設備 レジ TIなど各種インフラ整備対応・官公庁、マスコミ対応などを本部各部の責任部署が緊急体制で取り組む。台風15号の際は上陸の翌朝に緊急対策本部を立ち上げた。

 情報の一元化には、社内イントラ、電話、社内SNSを活用。カインズでは「Yammer(ヤマー)」(マイクロソフト社)という社内SNSを活用し、台風15号、19号の情報共有で活躍した。

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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