バローHD「D・S戦略」の集大成! 注目旗艦店「多治見店」の売場を解剖
バローホールディングス(岐阜県/小池孝幸社長、以下バローHD)傘下のバロー(同/森克幸社長)は、2024年11月29日に「スーパーマーケットバロー多治見店」(岐阜県多治見市:以下、多治見店)を全面建て替えし、リニューアルオープンした。
今回のリニューアルでは、同社が推進する「D・S(デスティネーション・ストア)」戦略を前面に押し出し、生鮮部門を中心とした専門性の高い売場を構築している。バローHDの旗艦店的な位置づけである同店の戦略を売場からひも解く。
※調査日:2025年2月26日 文中の価格は調査日のもの、本体価格
専門性の高さ際立つ生鮮3部門
岐阜県南部に位置する多治見市は、主要駅のJR各線「多治見」駅から名古屋まで特急列車で約30分とアクセスがよく、かつ00年頃から同駅周辺の開発によって住環境の整備が進み、近年はベッドタウンとして発展してきた。そしてなにより、バローHDが本部を置く場所でもある。
そんな“お膝元”に店を構える多治見店は、「多治見」駅から徒歩約14分の場所にある。バロー本部からも5.4㎞ほどの距離にあり、旗艦店的位置づけの店舗と見られる。

●所在地: 岐阜県多治見市若松町1-34
●営業時間: 10:00~20:00(土・日曜は9:30~)
●売場面積(SM): 2982.35㎡
●駐車場: 556台
●アクセス: JR各線「多治見」駅から徒歩約14分
同店は24年11月にスクラップ&ビルドを経てリニューアルオープンし、バローHDが近年推進するD・S戦略を前面に押し出した売場へと刷新された。
D・S戦略とは生鮮部門の強化と、プライベートブランド(PB)をはじめとする商品力の向上を通じて他店にはない独自性を打ち出し、競合店を越えて来店してもらえるような「来店目的性のある店づくり」をめざすものだ。
実際に多治見店を訪れると、生鮮3部門の専門性の高さが際立っている。とくに「仕入力」「商品力」「売場力」の3点において、専門性の高いオペレーションを実現し、一般的なSMでは再現が難しい水準に達していると筆者はみる。
「仕入力」に関しては、きめ細かな調達ルートを活用して独自性のある商品を豊富に展開し、それを生かした売場づくりを実現している。
「商品力」は各生鮮において、売り切れなかった商品や余剰部位を総菜化することで、食品ロス削減、商品の付加価値を高めている。思い切った仕入れができるのも、この「商品力」の高さゆえのことだろう。
「売場力」も高く、固定什器の数を最低限に抑えることで、季節や催事によってフレキシブルに売場を変化させるスタイルを採用。さらに、積極的な声掛けを伴う接客販売を強化し、リアル店舗ならではの顧客体験を提供している。
独自の品揃えで競争優位性を創出
売場を詳しく見ていくと、入口すぐの青果売場には左手に果物と野菜の加工場をそれぞれオープンキッチン形式で設置。加工スタッフが声出ししながら作業することでライブ感を演出している。また、多くの商品を店内加工することで、鮮度のよい商品をユニット価格で販売し、値ごろ感を打ち出している。

また、果物を「八百屋の生フルーツデザート」として「フルーツタルト3P」(1080円)や「いちごのなめらかプリン缶」(498円)などのスイーツに加工していたことにも注目したい。調査日にはバナナの希少品種を使用したタルトを4パック限定で販売。店内放送でアピールし、即完売させていた。通常ならば値下げや廃棄の対象となる商品をタルトに加工し、売り切るという現場力の高さを体現する取り組みだ。

品揃えも特徴的で、バナナやトマトといった定番品を押さえつつ、
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